古都の香りとともに ~祇園で出会う老舗の味~

古都の香りとともに ~祇園で出会う老舗の味~

祇園四条の賑わいから少し足を伸ばしたところに、静かに佇む「祇園権兵衛」。大正の終わり、1927年に創業して以来、京の街とともに歩み続けてきたこのお店は、京都の伝統的な味を今に伝える、知る人ぞ知る老舗です。町家の風情をそのまま残した木造の店構えに足を踏み入れると、どこか懐かしく、ほっとする空気に包まれます。

お店の中は、靴を脱いで上がる畳敷きの座敷が広がり、木のぬくもりと柔らかな照明が心地よい空間を演出しています。観光で歩き疲れた身体を、ゆったりとした空間と優しい出汁の香りが包んでくれるような、そんな温かさを感じられる場所です。

地元・京都の食材を大切に使い、素材の味を最大限に生かした料理は、観光客だけでなく、地元の常連さんにも長く愛されています。その証として、権兵衛はミシュランガイドにも掲載されており、国内外から多くの食通が訪れます。

シンプルにして極上。京都一との呼び声高い「親子丼」

親子丼 1,800円

祇園権兵衛で名物のひとつとなっているのが「親子丼」。見た目は一見シンプルですが、ひと口食べればその奥深さに驚かされます。使用されているのは、鶏肉と卵、そして香り高い山椒だけ。玉ねぎなどの具材は一切加えず、素材そのものの旨味を丁寧に引き出す、潔いまでのスタイルです。

卵は絶妙な火入れでふんわりとろりと仕上げられ、鶏肉はしっとりとしたやわらかさ。そして丼全体を支えるのが、昆布と鰹節から丁寧に引かれた自家製の出汁です。ほんのりと甘く、でもくどさのない上品な味わいで、卵や鶏肉の風味と溶け合うことで、ひとつの完成された世界が丼の中に広がります。

添えられた香の物が口直しとして良いアクセントになり、小ぶりなサイズながらも満足感は十分。口の中に残る出汁の余韻とともに、思わず「もう一杯」と言いたくなるほどの完成度です。

素材の良さ、技の冴え、そして何より京都らしい繊細な味わい——。派手さはないけれど、だからこそ印象に残る、そんな祇園権兵衛の親子丼は、まさに“京の味”を体験するにふさわしい逸品です。

食の京都を感じたいなら、ここへ。

老舗の雰囲気に包まれながら、静かに丼を味わう時間。それはまるで、日常を離れた旅のひとときを、ゆったりと噛みしめるような感覚です。観光地・祇園という場所にありながら、どこか地元に帰ってきたような落ち着きと優しさに出会える——そんな特別な体験が、ここにはあります。

京都を訪れるたびに足を運びたくなる店、「祇園権兵衛」。その味と空気感を、ぜひ一度体感してみてください。

店名

権兵衛

営業時間

11:30 - 20:00

住所

京都市東山区祇園町北側254

アクセス

京阪 祇園四条駅 徒歩5分

定休日

木曜日

電話番号

075-561-3350

公式サイト

https://soba-gion.jp/