祇園の路地裏の名店「平安」と“からしそば”の奥深き世界

祇園の路地裏の名店「平安」と“からしそば”の奥深き世界

祇園四条駅から徒歩わずか3分、観光客でにぎわうエリアの中でも、静けさを保つ富永町通。その一角に暖簾を掲げるのが「廣東料理 平安」です。昭和の面影を残す木の引き戸をくぐると、カウンターとテーブル席がこぢんまりと並ぶアットホームな空間が広がります。

この店の魅力は、気取らない雰囲気と手早く提供される本格中華。中でも春巻きと“からしそば”は、常連客が口をそろえて推す看板メニューです。昼夜ともに営業しており、観光の合間のランチ利用や、落ち着いた夕食にもぴったり。水曜の定休日を除き、週に何度も通うリピーターがいるのも納得の味と空気感です。

接客もほどよく距離感があり、忙しい旅人にとっても居心地の良い一軒。地元の人と観光客が混ざり合い、祇園らしい“余白のある時間”が流れています。

京中華の名物「からしそば」

からしそば 1,000円

「平安」の“からしそば”は、一見するとごく普通のあんかけ中華そば。しかし、最初のひと口で意識が変わります。ベースとなるのは、酢と和辛子を丁寧に溶いたタレ。その刺激が、まず鼻をつんと突き抜ける。そして後を追うように、鶏ガラベースの優しいスープ、しっかりとしたコシの中華麺、そして具材のハーモニーが押し寄せてくるのです。

あんかけには、鶏肉、エビ、タケノコ、レタスなどがバランスよく使われており、歯ごたえと風味に一切の妥協がありません。これだけでも十分満足感がありますが、最大のポイントは“辛さ”を自分で選べること。

辛さの段階は3つ——“中学”(控えめ)、“高校”(標準)、“大学”(強め)。名前のユーモアも相まって、常連の間では「今日は高校にしとくか」なんて会話が飛び交います。

祇園で広東料理を選ぶという、粋な選択

京料理や和菓子のイメージが強い祇園エリアで、広東料理を味わうという意外性。それこそが「平安」の魅力です。観光で訪れた方にも、地元の人の“とっておき”を感じさせてくれる一軒。甘さ控えめ、刺激はしっかり、でもどこか優しい。そんな“からしそば”は、間違いなく一度は体験してほしい京都グルメの一皿です。

店名

廣東料理 平安

営業時間

12:00 - 14:00、17:30 - 20:00

住所

京都市東山区八坂新地富永町131

アクセス

京阪 祇園四条駅 徒歩5分

定休日

水曜日、第2・第4木曜日

電話番号

075-531-2287