
吉田神社の夏越の祓 半年の厄を祓い、後半の幸を願う神事
2025年6月30日、京都・吉田神社にて、恒例の神事「夏越の祓(なごしのはらえ)」が今年も厳かに執り行われました。
平安時代から続くこの行事は、1年の前半に積もった“けがれ”や災いを祓い、後半を無事健やかに過ごせるよう願う神道の重要な節目。暑さを前に、心身を整える“京都らしい祈りの時間”を求めて、多くの人が集まりました。
境内を彩った大きな茅の輪
境内には、直径約3メートルの「茅(ちがや)」で編まれた大きな輪が設置されていました。これが夏越の祓の象徴、「茅の輪(ちのわ)」です。
参拝者はこの輪を「左→右→左」の順で八の字を描くように3回くぐります。古来より「茅の輪くぐり」は、疫病除け・厄除けのご利益があるとされ、単に通過するだけでなく、三段階の祈りが込められており、八の字にくぐる動作そのものが浄化と再生の象徴なのです。
一度目は「過去」のけがれを祓う
二度目は「現在」の心身を清める
三度目は「未来」への加護を願う
輪の前には長蛇の列ができていましたが、皆さん静かに自分と向き合いながら、丁寧に一歩一歩、くぐっていく姿が印象的でした。
蘇民将来の伝説に基づく茅の輪信仰
この茅の輪くぐりには、日本神話に登場する「蘇民将来(そみんしょうらい)」の伝承が基になっています。
使われている「茅(ちがや)」は、邪気を祓うとされる鋭い葉を持ち、乾燥しても腐らない特性から“長く続く浄化力”の象徴とされます。その茅で作られた輪をくぐることで、生命力をいただく。そんな自然と一体化した信仰が、今もなお息づいていることを感じさせました。
慌ただしい日常のなかで、一度立ち止まり、半年分のけがれを祓って、また前を向いて歩き出す。そのリズムを整えるための、やさしい時間。
吉田神社の夏越の祓は、まさにそんな“心の再スタート”を促す、静かで温かい行事でした。来年の6月30日も、またこの場所で新たな気持ちになれる——そんな期待を胸に、境内を後にする人々の姿が印象的でした。
神社名 | 吉田神社 |
参拝時間 | 9:00 - 16:30 |
住所 |
京都市左京区吉田神楽岡町30 |
アクセス |
京阪 出町柳駅 徒歩20分 |
電話番号 |
075-771-3788 |
公式サイト |
https://www.yoshidajinja.com |