観光お寺・神社二尊院の見どころ 静かな嵯峨嵐山の紅葉の名所

二尊院の見どころ 静かな嵯峨嵐山の紅葉の名所

今回紹介するのは、嵯峨嵐山からすこし外れた場所に位置する「二尊院」。紅葉の名所として知られていますが、嵐山駅から徒歩で約20分かかるため観光シーズンでも比較的混雑が少なく、ゆったりと過ごせます。大覚寺や天龍寺と並んで「嵯峨三名跡」のひとつとしても有名です。

 

嵯峨三名跡のひとつ「二尊院」

二尊院はバス停「嵯峨釈迦堂前」から徒歩10分ほどの場所にある天台宗のお寺で、山号は小倉山といいます。発遣(死者を送り出す)の釈迦如来と来迎(死者を浄土へ招き入れる)の阿弥陀如来の二体の本尊があることから「二尊院」という名称になりました。

嵯峨天皇の勅命により創建された二尊教院華台寺が前身であると言われていますが、二尊教院と華台寺は別の寺であったという説もあります。のちに衰退していった本寺を法然が有力貴族である九条家と再興しますが、その再興もむなしく応仁・文明の乱の戦火に巻き込まれ焼失しました。その後、広明恵教という僧侶と三条家の協力により、再び再建されました。

宮中の仏事を執り行う黒戸四ヵ院のひとつであることから、南北朝時代(鎌倉末期)から明治維新まで、鷹司家・二条家・三条家などの有力貴族そして江戸時代初期の豪商である角倉了以の一族、江戸時代の儒教学者である伊藤仁斎の一族などの墓所があります。また、戦前からの映画スターとして知られる阪東妻三郎が眠ることでも知られています。

 

二尊院の見どころ

総門から続く「紅葉の馬場」

二尊院の見どころの一つに挙げられるのが、紅葉の時期に圧倒的な美しさを誇る参道「紅葉の馬場」です。二尊院の総門は1613年に伏見城から移築されたもので、貴重な室町時代の建築として京都市指定文化財に指定されています。総門をくぐると、真っ直ぐに続く参道が広がり、両脇にはモミジとサクラが交互に植えられています。左右から鮮やかなモミジが覆いかぶさるように枝を伸ばし、まるで紅葉のトンネルの中を歩いているような感覚に浸ることができますよ。

春は桜のピンク色、夏は深い緑、秋には燃えるような朱色、そして冬には霜に覆われた静かな光景が広がります。特に秋の紅葉の美しさは格別で、「紅葉の馬場」として多くの人々に愛されています。参道はおよそ200メートルの長さがあり、左右から紅葉がトンネルのように覆いかぶさるその美しさは圧倒的です。

 

本堂と唐門の紅葉に包まれて

参道を抜け、石段を上ると本堂が姿を現します。本堂は二尊を祀る広々とした六間取りの方丈形式の建物で、室町時代の応仁の乱で焼失した後、再建されました。本堂の正面には、後奈良天皇の直筆による「二尊院」の額が掲げられており、2016年に350年ぶりの大改修を経て復元されています。

本堂の向かいにある唐門とそれに続く白壁、そして黒門は、紅葉に包まれた風景が広がり、特に晩秋には散り紅葉と相まって、非常に美しい景観を作り出します。そのほかにも紅葉の彩りに包まれた本堂、築地塀、そして石段など、さまざまな角度から二尊院の美景を楽しむことができるでしょう。

庭園

二尊院の庭園は、枯山水の美しさを取り入れた伝統的な日本庭園です。苔と石組みが調和する空間は、四季を通じて異なる表情を見せ、特に雪景色の際は幻想的な美しさを楽しめます。

弁天堂と九頭龍伝説

弁天堂では、弁財天の化身である九頭龍大神・宇賀神が祀られています。その由来は、勅使門にあった寺名の額を竜女池より出た霊蛇が出て、字形や彩色が消えるほどに舐めてしまったという逸話からです。湛空上人は霊蛇の成仏のため血脈(師から弟子におくる仏教の言い伝え)を書いて池に沈めました。すると竜女が成仏した証拠として蓮華が一本咲いたといいます。

このほかにも、1992年に「しあわせの鐘」と名付けられ、自らの幸せや自分の周りの生きとしいけるもの、世界の平和を祈るために三つ鐘を鳴らして祈念することができる鐘楼や、春と秋の一時期だけ利用でき、庭を眺めながらゆっくりとお茶を飲むことができる茶室「御園亭」、湛空上人の碑が収められており、室町時代末期の建築として京都市指定文化財に指定されている「湛空廟」などがあります。

小倉山と藤原定家の時雨亭

本堂の裏手には小高い小倉山があり、かつては藤原定家が百人一首を撰んだ「時雨亭」が存在しました。この小倉山一帯も紅葉の名所として知られ、山全体が鮮やかな赤や黄色に染まります。また小倉山の中腹には、保津川の水運の発展に貢献した豪商・角倉了以の墓があります。二尊院の紅葉の美しさはこの歴史的背景とともに、さらにその魅力を増しているのです。

 

二尊院 情報

名称

二尊院

住所

京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27

拝観時間

9:00~16:30(受付終了)

拝観料金

大人(中学生以上):500円
小人(小学生以下):無料

アクセス

市バス 嵯峨釈迦堂前下車、徒歩9分
京福嵐山本線 嵐山駅より徒歩19分
JR山陰本線 嵯峨嵐山駅より徒歩20分

HP

https://nisonin.jp/