上賀茂神社「秋季特別公開」で体感する神域の静謐

上賀茂神社「秋季特別公開」で体感する神域の静謐

上賀茂神社では、2025年10月25日(土)から12月7日(日)まで、秋季特別公開が行われています。普段は立ち入ることのできない神域へ、神職の案内で足を踏み入れることができる貴重な機会です。

国宝や重要文化財の建造物、そして神々しい空気が満ちる社殿。そのすべてに、千三百年を超える歴史が息づいています。神職の言葉に耳を傾けながら、目に見えない「神の領域」を感じられる秋の拝観です。

京都最古の社のひとつ、上賀茂神社の歴史と魅力

正式名称を賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)といい、京都最古の神社の一つとされる上賀茂神社。御祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)で、「雷を別けるほどに強い力を持つ神」という意味をもち、厄除けや災難除け、必勝祈願の神として信仰を集めています。

社殿の創建は天武天皇6年(677年)。以来、皇城鎮護の神として崇敬を受け、現在はユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」の一部として登録されています。

境内には国宝2棟、重要文化財41棟が建ち並びます。朱塗りの楼門は参拝者を迎える象徴的な門であり、紅葉に映える姿は見事です。本殿と権殿は、神社建築の流造(ながれづくり)の典型として知られ、江戸時代の狩野派による「影狛(かげこま)」の絵が残されています。

さらに境内を流れる「ならの小川」は、秋の紅葉が水面を染め、静けさの中に季節の彩りを映します。古来より京都の四季を映すこの神社は、訪れるたびに異なる表情を見せてくれる場所です。

神職が案内する「秋季特別公開」 ― 神域へ踏み入る体験

秋季特別公開では、国宝の本殿・権殿、そして重要文化財の高倉殿が拝観対象となります。最も特徴的なのは、拝観者が神職の案内を受けながら進むという点です。

まず、神域に入る前に行われるのが「修祓(しゅばつ)」というお祓いの儀式。心身を清めてから、神職が歴史や由緒を語りつつ、普段は非公開の本殿・権殿の神域へと導きます。

一歩進むごとに、空気の張りつめ方が変わり、時が静かに流れていくのを感じます。神職の穏やかな声が響くたび、古代から続く信仰の重みが胸に染み入るようです。

参拝の途中で疑問を感じたことがあれば、参拝後に神職に質問することもできます。神域で神話や建築、祭礼の由来を直接聞けるのは、この特別公開ならではの体験です。

その後に訪れる高倉殿では、京都古文化保存協会のスタッフによる宝物(ほうもつ)の解説が行われます。神社に伝わる貴重な御神宝の数々を間近に見ることができ、学びと感動が同時に訪れる時間です。

歴史ある文化財の保存修理や維持管理に拝観料が充てられる点も、この公開の意義を深めています。

京都の秋を深める特別な時間

紅葉が見頃を迎えるこの季節、上賀茂神社の特別公開は、ただの見学ではなく「神と人とを結ぶ時間」です。静謐な空気に包まれながら、神職の案内で歩く境内は、まるで古の物語の中に入り込んだような感覚を覚えます。

観光や写真撮影とは異なる、心を鎮める体験として訪れてみてはいかがでしょうか。秋風の中に漂う木の香り、神域を流れる小川のせせらぎ、そのすべてが日常を離れたひとときを演出します。

京都の秋を、上賀茂の神々とともに感じる旅へ出かけてみてください。

開催期間 2025年10月25日(土)~12月7日(日)
時間 9:00-16:00(ただし特定日は時間変更あり)
  • 10月28日(火)、11月12日(水)9:00-12:00

  • 11月3日(月・祝)、11月20日(木)13:00-16:00

  • 11月14日(金)9:00-15:00

  • 11月23日(日・祝)12:00-16:00

住所 京都市北区上賀茂本山339
アクセス 市バス「上賀茂神社前」下車すぐ
電話番号 075-781-0011(上賀茂神社)
075-451-3313(京都古文化保存協会)
初穂料 大人1,000円/中高生500円
公式サイト https://www.kamigamojinja.jp/
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