京都 清宗根付館 特別企画「根付の幸せ」展 掌に宿る瑞獣と出会う
京都市中京区にある京都 清宗根付館で、1月6日(火)から3月31日(火)まで、特別企画「根付の幸せ」展が開催中です。本展は、新年にふさわしいテーマを月替わりで紹介する企画展で、1月、2月、3月それぞれ異なる切り口から「幸せ」を表現した根付作品が並びます。
根付は、帯に提げ物を吊るすための留め具として江戸時代に生まれた小さな工芸品です。現在では美術品として国内外で高く評価されており、京都 清宗根付館は日本で唯一の根付専門美術館として、現代根付を中心に常時350点以上を展示しています。
「根付の幸せ」展では、吉祥、笑い、瑞獣といったテーマを通して、掌に収まる彫刻の中に込められた願いや祈りを読み解いていきます。小さな作品のなかに込められた発想や技巧をじっくり鑑賞できる内容です。
本展の見どころは、瑞獣という「形の決まっていない存在」を、どのように掌中のスケールへ凝縮したかという点にあります。伝統的な瑞獣像を踏まえながら細部を緻密に彫り上げた作品もあれば、既存のイメージを再解釈し、構図や姿勢を大胆に組み替えた作品も並びます。
それぞれの作品を見比べると、発想の違い、構図の選択、素材の扱い、彫りの密度などがはっきりと伝わります。同じ「瑞獣」という主題でも、作家ごとに与えられた像は大きく異なります。その差異を意識しながら鑑賞することで、根付の造形の奥行きをより深く理解できます。
瑞獣はもともと吉祥の象徴です。新年の企画として、めでたい存在を主題に選んだ構成も、本展の大きな特徴といえます。
阿部 賢次(1947~)/高さ3.1cm/象牙
栗田 元正(1976~)/高さ5.7cm/鹿角
井尻 朱紅(1954~)/高さ4.8cm/黄楊・蒔絵
永島 信也(1986~)/高さ3.8cm/黄楊
齋藤 美洲(1943~)/高さ6.8cm/象牙
明治以降、洋装の普及により根付は実用品としての役割を終えました。しかし一方で、欧米では美術品として再発見され、「NETSUKE」という名称のまま広く受容されていきます。浮世絵や茶器と並び、日本文化を象徴する工芸として高く評価され、多くのコレクターや美術館に収蔵されました。
根付は日本と世界が共有してきた文化財でもあります。日本の生活文化に根差しながらも、海外の鑑賞者や研究者に支えられ、評価が更新されてきました。さらに現代では、根付師が日々制作を続け、思想や技法を受け継ぎながら新しい表現を生み出しています。根付は過去の遺産ではなく、現在進行形の工芸です。
実際に来館された方のなかには、根付を装身具の一種だと思っていたという方が多く、本来は帯に提げる留め具であったことを初めて知り、驚かれることがあるそうです。また、現代作家が今も制作を続けていることに強い関心を示す方も多く、小さな彫刻が生活史と美術史の両方にまたがる存在であることが、強く印象に残るようです。
「新たな挑戦」と「絆」をむね(宗)とし、根付と根付をめぐる文化の継承・創造・発展を目指し、<魅せる><育む><繋がる>を使命に、地域と皆さまに開かれた美術館として活動しています。
佐川印刷のメセナ事業の一環として運営されており、2007年9月に開館。京都市の有形指定文化財で、京都市内に現存する数少ない武家屋敷と京町屋の特性を併せ持つ郷士(上層農民)の邸宅「旧神先家住宅」に、現代根付約400点が展示されています。
特別企画「根付の幸せ」展では、吉祥や瑞獣といった題材を通して、幸せのかたちを具体的に提示します。小さな造形の中に込められた願いや思想を読み取る体験は、京都観光のなかでも工芸に焦点を当てた時間となります。
江戸の生活から生まれ、海外で再評価され、現代作家によって更新され続ける根付。その流れを一度に学べるのが京都 清宗根付館です。新年の特別企画として展開される本展は、根付の多面性を知る機会になります。
京都で工芸や日本文化に触れたい方にとって、特別企画「根付の幸せ」展は、じっくりと鑑賞できる選択肢の一つです。小さな作品を通して、日本の生活文化と現代の創作の両方に触れてみてはいかがでしょうか。
根付は、帯に提げ物を吊るすための留め具として江戸時代に生まれた小さな工芸品です。現在では美術品として国内外で高く評価されており、京都 清宗根付館は日本で唯一の根付専門美術館として、現代根付を中心に常時350点以上を展示しています。
「根付の幸せ」展では、吉祥、笑い、瑞獣といったテーマを通して、掌に収まる彫刻の中に込められた願いや祈りを読み解いていきます。小さな作品のなかに込められた発想や技巧をじっくり鑑賞できる内容です。
3月開催中「めでたい瑞獣根付」展
瑞獣とは、鳳凰や麒麟など実在しない想像上の存在を指します。実在の動物とは異なり、形の根拠は伝承や語義にとどまり、最終的には作家の想像力に委ねられます。本展の見どころは、瑞獣という「形の決まっていない存在」を、どのように掌中のスケールへ凝縮したかという点にあります。伝統的な瑞獣像を踏まえながら細部を緻密に彫り上げた作品もあれば、既存のイメージを再解釈し、構図や姿勢を大胆に組み替えた作品も並びます。
それぞれの作品を見比べると、発想の違い、構図の選択、素材の扱い、彫りの密度などがはっきりと伝わります。同じ「瑞獣」という主題でも、作家ごとに与えられた像は大きく異なります。その差異を意識しながら鑑賞することで、根付の造形の奥行きをより深く理解できます。
瑞獣はもともと吉祥の象徴です。新年の企画として、めでたい存在を主題に選んだ構成も、本展の大きな特徴といえます。
白澤(はくたく)
伝説の瑞獣として知られ、人間の言葉を話し、万物の知識に通じ、災厄や疫病を退ける力を持つと信じられています。徳の高い為政者の治世に現れます。
阿部 賢次(1947~)/高さ3.1cm/象牙
鳳凰
平安の象徴とされ、慈悲に満ちた智慧を備えるため、困難な時はその姿を見せず、聖天子が出現した際に現れ、愛と再生をもたらすとされます。
栗田 元正(1976~)/高さ5.7cm/鹿角
鳳凰
そもそも鳳が雄、凰が雌をあらわすともいわれ、番( つがい) で鳳凰とされます。桐に宿り、竹の実をついばみ、永遠の時を生きるといわれています。
井尻 朱紅(1954~)/高さ4.8cm/黄楊・蒔絵
レッドドラゴン
紅い素材を活かし、ファンタジーゲームから飛び出してきたような作品です。アジア圏での龍と異なり、皮膜の翼を持ち、獰猛な性格を帯びています。
永島 信也(1986~)/高さ3.8cm/黄楊
麒麟
百獣の長とされ、麒は雄(オス)、麟は雌( メス) を表し、慈しみ、思いやりを持った動物で、生きている虫を踏まず、草を折らない仁獣とされます。
齋藤 美洲(1943~)/高さ6.8cm/象牙
根付とは何か 生活道具から世界的な美術へ
根付は、日本で生まれた生活道具で、印籠や巾着などの提げ物を帯に吊るすための留め具として発達しました。小さいながらも強度が求められ、紐を通す穴が必ず設けられており、機能と造形が不可分の関係にある点が大きな特徴です。明治以降、洋装の普及により根付は実用品としての役割を終えました。しかし一方で、欧米では美術品として再発見され、「NETSUKE」という名称のまま広く受容されていきます。浮世絵や茶器と並び、日本文化を象徴する工芸として高く評価され、多くのコレクターや美術館に収蔵されました。
根付は日本と世界が共有してきた文化財でもあります。日本の生活文化に根差しながらも、海外の鑑賞者や研究者に支えられ、評価が更新されてきました。さらに現代では、根付師が日々制作を続け、思想や技法を受け継ぎながら新しい表現を生み出しています。根付は過去の遺産ではなく、現在進行形の工芸です。
実際に来館された方のなかには、根付を装身具の一種だと思っていたという方が多く、本来は帯に提げる留め具であったことを初めて知り、驚かれることがあるそうです。また、現代作家が今も制作を続けていることに強い関心を示す方も多く、小さな彫刻が生活史と美術史の両方にまたがる存在であることが、強く印象に残るようです。
京都 清宗根付館
京都 清宗根付館は、佐川印刷株式会社 取締役名誉会長 木下宗昭による「日本のよき伝統を、日本人の手によって、日本に保管したい」という発意によって、ここ文化首都・京都に設立された日本で唯一の根付を専門とする美術館です。「新たな挑戦」と「絆」をむね(宗)とし、根付と根付をめぐる文化の継承・創造・発展を目指し、<魅せる><育む><繋がる>を使命に、地域と皆さまに開かれた美術館として活動しています。
佐川印刷のメセナ事業の一環として運営されており、2007年9月に開館。京都市の有形指定文化財で、京都市内に現存する数少ない武家屋敷と京町屋の特性を併せ持つ郷士(上層農民)の邸宅「旧神先家住宅」に、現代根付約400点が展示されています。
掌の中の密度を体感する展覧会
根付は手のひらに収まるほどの大きさです。しかしその内部には、主題の選択、素材の工夫、刃の運び、磨きの仕上げなど、作り手の判断が積み重なっています。紐穴の位置や形状も設計の一部であり、機能と造形が一体となっています。特別企画「根付の幸せ」展では、吉祥や瑞獣といった題材を通して、幸せのかたちを具体的に提示します。小さな造形の中に込められた願いや思想を読み取る体験は、京都観光のなかでも工芸に焦点を当てた時間となります。
江戸の生活から生まれ、海外で再評価され、現代作家によって更新され続ける根付。その流れを一度に学べるのが京都 清宗根付館です。新年の特別企画として展開される本展は、根付の多面性を知る機会になります。
京都で工芸や日本文化に触れたい方にとって、特別企画「根付の幸せ」展は、じっくりと鑑賞できる選択肢の一つです。小さな作品を通して、日本の生活文化と現代の創作の両方に触れてみてはいかがでしょうか。
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展覧会名 |
特別企画「根付の幸せ」展 |
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会期 |
1月6日(火)~3月31日(火) |
館名 |
京都 清宗根付館 |
開館時間 |
10:00-17:00時(最終入館16:30) |
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住所 |
京都市中京区壬生賀陽御所町46番地1(壬生寺東側) |
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アクセス |
JR京都駅から市バス 26・28系統で20分、壬生寺通下車徒歩3分 |
休館日 |
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌日火曜日休館) |
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電話番号 |
075-802-7000 |
入場料 |
一般1,300円/中・高・大生1,100円 |
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公式サイト |
https://www.netsukekan.jp/ |






