知恩院の見どころ 七不思議と共に歩く浄土宗の聖地
今回紹介するのは、浄土宗の総本山として有名な知恩院。浄土宗開祖である法然上人ゆかりの地として広く知られています。
目次
浄土宗の総本山「知恩院」
知恩院は京都市東山区に位置する浄土宗の総本山で、正式名称は「華頂山知恩教院大谷寺」。その名前の由来は、開祖である法然が東山大谷に草庵を建てたことにあります。御影堂には法然上人の御尊像が安置されており、徳川秀忠によって建立された山門は、同系統の門としては現存する中で最大級とされています。
山門を抜け、奥の階段を登ると「大鐘楼」が吊り下げられています。この大鐘楼は、京都の方広寺、奈良の東大寺と並び、日本三大釣鐘のひとつに数えられており、年末年始には「えーいひとーつ」「そーれ」の掛け声とともに、17人の僧侶が力を合わせて鐘を打つ光景が繰り広げられます。その様子は、毎年NHKの「ゆく年くる年」で紹介されることでも有名です。
また、方丈に広がる庭園は、雄大かつ豪華な造りで知られ、国指定の文化財にも登録されています。
知恩院の七不思議
知恩院には古くから伝わる「七不思議」があります。中には公開されていないものもありますが、多くの不思議は実際に見ることができます。ただしこれらの多くは撮影禁止となっていますので、残念ながら写真ではご紹介できません。
①鶯張りの廊下
全長550メートルもあるといわれる御影堂から集会堂、大方丈、小方丈に至る廊下。歩くと鶯の鳴き声に似た「キュッ」とした音が聞こえます。これは「忍び返し」と呼ばれ、曲者の侵入を知らせる警報装置の役割は果たしているのではないかとされています。なかには鶯の鳴き声が「法聞けよ」とも聞こえるという説もあります。
②瓜生石
黒門への登り口にある大きな石で、知恩院が建てられる前からここにありました。伝説によれば、この石からは瓜のつるが伸び、花が咲き、瓜が実ったと言われています。また、この石を掘ると抜け道や隕石が現れるという不思議な話も伝えられています。
③大杓子
大方丈の入口にある梁に置かれた大きな杓子は、長さ2.5メートル、重さ約30キログラムもあります。伝説では、三好清海入道が大坂夏の陣で兵士たちのご飯を「すくい」振る舞い、またこの杓子で暴れまわったと言われています。
④三方正面真向きの猫
方丈の廊下の杉戸に描かれた狩野信政筆の猫の絵。この絵の猫は、どちらから見ても正面からこちらを睨んできているような印象を与えます。
⑤抜け雀
大方丈の「菊の間」に描かれた襖絵で、こちらも狩野信政の作品です。もともと紅白の菊の上に数羽の雀が描かれていましたが、あまりに精巧だったため命を得て飛び去ったと言われています。現在の襖絵には、飛び去った後の跡しか残っていません。
⑥忘れ傘
御影堂正面の軒裏をじっと見上げると、なぜか骨ばかりとなった傘が残っています。これは、名工左甚五郎が魔除けのためや自己顕示のために残したという説や、御影堂建立の際に近辺に住んでいた白狐が、当時の上人に新しい自分の住処を用意して欲しいとお願いし、約束を果たしてくれたお礼であるという伝説があります。
⑦白木の棺
三門楼上に安置されている二つの白木の棺には、五味金右衛門とその妻の木像が納められています。夫婦は三門の造営を命じられ尽力しましたが、予算超過の責任を取るため完成後に自刃したと言われています。白木の棺は三門楼上が特別公開される時のみ見ることができます。
知恩院 情報
名称 |
知恩院 |
住所 |
京都府京都市東山区林下町400 |
拝観時間 |
12月〜2月:6:00〜16:00 友禅苑:9:00〜16:00 |
拝観料金 |
▼友禅苑 ▼共通券 |
アクセス |
市バス 知恩院前 下車、徒歩5分 地下鉄東西線 東山駅より徒歩8分 京阪 祇園四条駅より徒歩10分 阪急 京都河原町駅より徒歩15分 |
HP |
https://www.chion-in.or.jp/ |