祇園祭の日程 千年の歴史が紡ぐ、京都の夏の風物詩
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毎年7月、京都の町に響く祇園囃子。コンチキチンという独特のリズムが、町屋に反響しながら人々の心を夏へといざないます。祇園祭は八坂神社の祭礼であり、平安時代の869年、疫病退散を願って行われた「御霊会」が起源とされています。それ以来、千年以上にわたり形を変えながら受け継がれ、現在ではユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
特に目を引くのは、高さ25mを超える鉾が街を巡行する「山鉾巡行」。その豪華さとスケールから「動く美術館」と称されることも。懸装品には中国やペルシャ由来の織物も使われており、京都がいかに早くから国際的な文化都市であったかを物語っています。
また、祭りの本質は神事にあります。山鉾が先導するのは、町中を清める神輿の渡御。神様が町を巡り、災厄を祓い、無病息災を祈るという信仰が、祭りの中心にあるのです。
2025年の祇園祭、行事と日程をチェック
祇園祭は、前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)という二つのピークがあります。それぞれで山鉾巡行が行われ、雰囲気も規模も異なるため、どちらも訪れることで、祇園祭の奥深さを味わうことができます。
・長刀鉾町お千度:7月1日
稚児と禿が八坂神社に参拝し、神事の無事を祈願します。
・吉符入:7月1日~5日
祭礼奉仕や神事の打合せを行います。
・くじ取り式:7月2日
京都市役所で、山鉾巡行の順番を決めるくじを引きます。
・長刀鉾稚児舞披露(太平の舞):7月5日
長刀鉾前で披露。小さな体で優雅に舞う姿が見ものです。
・綾傘鉾稚児社参:7月7日
八坂神社にて稚児が町内役員と参拝します。
・前祭山鉾建:7月10日~14日
各鉾町で釘を使わず縄で山鉾を組み立てる職人技の真髄が見られます。
・お迎え提灯・神輿洗:7月10日
八坂神社〜市役所にかけての周辺地域で神輿を清める神事。幻想的な夜の行列が魅力。
・前祭鉾曳き初め:7月12日〜13日
各鉾町で完成した山鉾を試し曳きする行事。見学・参加も可能な場合あり。
・稚児社参・久世駒形稚児社参:7月13日
神聖な儀式として稚児が参拝。観覧不可。
・前祭宵山・屏風祭:7月14日〜16日
夕暮れとともに各山鉾に提灯が灯され、幻想的な雰囲気に包まれます。町家では家宝の屏風や道具が展示される「屏風祭」も行われ、町を歩くだけで美術館を巡るような体験ができます。
・伝統芸能奉納:7月15日
八坂神社で、舞や音楽など多彩な芸能が奉納されます。
・前祭・山鉾巡行:7月17日 9時〜
23基の山鉾が四条烏丸を出発し、市役所前を経て新町御池まで巡行。交差点で山鉾が方向転換する「辻廻し」は最大の見どころ。迫力と技術の結晶です。
・神幸祭(神輿渡御):7月17日 18時〜
八坂神社の神輿が氏子区域を練り歩きます。石段下で行われる「差し上げ」では、観客の歓声が最高潮に達します。
・後祭・宵山:7月21日〜23日
前祭に比べ人出が落ち着いており、山鉾をじっくりと鑑賞できる静かな宵山。装飾の細部まで見逃せません。
・後祭・山鉾巡行:7月24日 9時半〜
11基の山鉾が巡行します。前祭のにぎやかさとは対照的な、厳かな空気の中で行われる巡行が魅力です。
・還幸祭:7月24日 夕方
御旅所にとどまっていた神輿が再び動き出し、八坂神社へ戻っていきます。まさに祭りのクライマックスです。
見逃せないその他の行事
祇園祭は1か月にわたって神事が連続します。7月1日の「吉符入」から始まり、祭りを締めくくるのは7月31日の「疫神社夏越祭」。大茅輪をくぐって厄除けを祈るこの儀式で、京都の夏が静かに幕を閉じます。
また、7月10日には「神輿洗」、7月12日・13日には「鉾曳き初め」、7月16日には「献茶祭」「日和神楽」、7月24日には「花傘巡行」など、多彩な行事が盛りだくさん。毎日どこかで何かが起きている、それが祇園祭の魅力です。
祇園祭をもっと楽しむために
浴衣での参加は、雰囲気をより一層盛り上げてくれるでしょう。屋台グルメや御朱印集めも楽しみのひとつ。歩行者天国になる四条通や、各山鉾町の限定アイテムなども要チェックです。 なお、人気イベントには混雑がつきもの。山鉾巡行は観覧席が事前予約制になっているほか、周辺のホテルも早くから満室になる傾向にあるため、旅の計画はお早めに。

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