蹴上インクラインの見どころ 歴史と自然を感じる旅
今回は、SNSの発達により若者の間で人気の撮影スポット「蹴上インクライン」をご紹介します。写真映えする風景が注目されがちですが、京都の未来を背負って明治時代に作られた琵琶湖疏水と深く関わっていることをご存知でしょうか?今回はその歴史とともに、蹴上インクラインの魅力をお伝えします。
目次
京都の代表的な撮影スポット「蹴上インクライン」
蹴上インクラインは、明治時代に造られた琵琶湖疏水に沿って位置し、かつて京都の貨物輸送を支えた歴史ある施設です。琵琶湖疏水は東京遷都による衰退から京都を立て直すために開削され、その一環としてこのインクラインが建設されました。
当時、京都は急激な経済衰退に直面し、人口は3分の1まで減少していました。「いずれ狐や狸の棲家になる」とまで言われたほどです。そんな中、京都府知事・北垣国道が琵琶湖の水を活用した水力発電や物流ルートの開発を計画。その一環として造られた蹴上インクラインは、京都の経済を大いに支えました。
疏水による物資輸送は船を使って行われていましたが、蹴上周辺は急な傾斜があり、南禅寺船溜から標高の高い蹴上船溜へと物資を運ぶにはレールを敷いた坂道での運搬が必要でした。この斜面鉄道は船を載せた台車を傾斜に沿って運ぶ全長582メートルの設備でした。
インクラインを登ると赤レンガの建物「蹴上発電所」が見えてきます。これは琵琶湖疏水を利用した日本初の一般供給用水力発電所で、現在も稼働しています。今では他の交通手段が発達しインクラインの役目は終わりましたが、現在も写真映えするスポットとして若者に大人気です。とはいえ、蹴上インクラインは京都の過去と現在をつなぐ貴重な遺産として、多くの人々に親しまれています。
蹴上インクラインと紅葉
桜の名所として知られる蹴上インクラインですが、実は秋の紅葉も見逃せません。紅葉の時期になると、インクライン沿いにあるもみじやカエデが鮮やかに色づき、赤や黄色の美しい景観が広がります。特に線路に落ちた紅葉の葉がノスタルジックな雰囲気を演出し、SNS映えするスポットとしてもおすすめです。落ち葉が積もる線路と一緒に撮影すれば、思い出に残る素敵な写真が撮れますよ。
また、紅葉の名所である南禅寺や哲学の道も近くにあるため、インクラインとあわせて散策するのもおすすめです。これらのスポットを巡ることで、秋の京都ならではの風情を存分に楽しむことができます。
インクラインの紅葉は桜の季節ほど混雑しないため、ゆっくりと紅葉を楽しめる穴場でもあります。特に下側の船溜に近い場所には、真っ赤に色づくカエデが多く、秋らしい風景を堪能できます。線路沿いに広がる錦秋の風景を背景に、静かなインクラインでの散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。
蹴上インクラインの楽しみ方
蹴上インクラインは今や人気の観光スポットとして広く知られています。しかし実際に訪れてみると、急勾配の坂道に線路が敷かれているだけで、どう楽しんだらいいのか迷う方もいるかもしれません。ここでは、インクラインの見どころや楽しみ方を紹介します。
①写真撮影
現在、蹴上インクラインは若者を中心に人気の写真撮影スポットとなっています。周囲には風光明媚な景色が広がり、特にインクラインを登る際に見える風景は絶景です。坂道に沿ってまっすぐ伸びる線路の両脇には、緑豊かな木々が生い茂り、自然のトンネルが広がります。撮影に訪れる人の中には、線路という近代的な要素と着物を組み合わせ、レトロで大正ロマンを感じる雰囲気を楽しむ方も多くいます。
②歴史探索
先述の通り、京都の経済の命運をかけた一大工事である琵琶湖疏水。開削工事は当然大規模で難しいものでした。なかには工事の犠牲となった殉職者も存在します。インクライン下方にある南禅寺船溜にある「琵琶湖疏水記念館」は、そんな琵琶湖疏水の歴史を伝える博物館。館内屋上のテラスでは、噴水越しに琵琶湖を望めることができます。
蹴上インクライン 情報
店名 |
蹴上インクライン |
営業時間 |
京都府京都市東山区東小物座町339 |
住所 |
地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩5分 |
アクセス |
https://biwakososui.kyoto |