
清水寺の見どころ
清水寺は、数ある神社仏閣のなかでも京都を代表する観光スポットとして認知されている寺院です。清水の舞台で有名ですが、ほかに見どころはどこにあるのだろうと感じる方も多いはず。本記事では、そんな清水寺のおすすめスポットをご紹介します。
目次
清水寺とは?
清水寺は、世界文化遺産に指定されており正式には音羽山清水寺といいます。
北法相宗の大本山としても知られており、創建は778年(平安時代)に、武将の坂上田村麻呂が鹿狩りの途中に出会った僧の延鎮から、むやみに生物の命を奪う行為を強く戒められ、夫人とともに千手観音のお堂を建てたことが起源とされています。
国宝であり、「清水の舞台」として知られる幻想的な本堂・舞台や、仁王門、三重塔、鐘楼、釈迦堂、阿弥陀堂など重要文化財が多数あるほか、「健康」「恋愛・美容」「学業・出世」のご利益があるといわれている音羽の滝、真っ暗闇を手すりを頼りに進む随求堂の胎内めぐりなど、京都の歴史と優美さを伝えるシンボル的な存在として、京都観光の定番スポットとしても知られています。
春は桜、秋は紅葉の名所としても知られ、その時期は境内の木々が色づき幻想的な風景が広がります。その時期にあわせて三重塔や舞台が幻想的に照らされる夜間ライトアップや特別拝観も人気です。
また、毎年12月に「今年の漢字」が清水寺の舞台で発表されます。2024年は「金」でした。
仁王門
清水坂をまっすぐ登ると目に入る「仁王門」は清水寺の正門です。丹塗り(にぬり)がきれいなことから、「赤門」とも呼ばれています。応仁の乱で一度焼失し、その後再建されました。
仁王門はお寺を守るために2体の金剛力士を安置した門です。門の中に安置されている仁王像は鎌倉時代の作品。京都で最大の大きさを誇ると言われています。向かって右側が「那羅延天(ならえんてん)」、左側が「金剛力士(こんごうりきし)」です。
門の正面に掲げられている「清水寺」の額は、平安時代の書道の達人「三跡」の一人である藤原行成が書いたものと言われています。
三重塔
高さ30メートルほどある国内最大級の三重塔です。大日如来を祀っており、塔内の天井や柱には密教仏画や龍が描かれています。清水の舞台とならび、清水寺を象徴する建造物として知られています。
随求堂胎内めぐり
随求堂の本尊である大随求菩薩は、すべての動物の願いや求めを叶えてくれる仏様です。随求堂では「胎内めぐり」という体験ができます。胎内めぐりの中は暗闇でまったく何も見えず、「仏様の胎内にみたてた真っ暗な道を歩いていき、自分の中の光を感じる」という儀式を体験できます。
本堂
「清水の舞台」として有名な本堂は、長い柱で床を支える舞台造りの建築物です。その壮大な姿から、決意を表すことわざとして「清水の舞台から飛び降りる」という言葉が生まれました。本堂は延暦寺との度重なる抗争によって焼失しましたが、後に徳川家光によって再建されました。本堂の北側にある礼堂には、33年に一度しか公開されない貴重な秘仏の十一面千手千眼観音像が安置されています。
講堂
西門
釈迦堂
百体地蔵堂
阿弥陀堂
ふれ愛観音
弁慶の高下駄と錫杖
本堂舞台の入口、大黒さまの向かいにあるのは、大きく重い鉄下駄と錫杖です。諸説ありますが、誰がどのような目的で清水寺に奉納したのかはわかっておらず、いつしかその大きさと重さから「弁慶の高下駄」「弁慶の錫杖」と呼ばれるようになりました。高下駄に触れたものは浮気をすることがなくなると言われています。
濡れ手観音
音羽の滝の真上に建つ「奥の院」裏側にあるのは、1メートルにも満たない小さな石造り観音立像「濡れ手観音」です。隣にある蓮華状の水盤から柄杓で水を掬い上げ、こぼさずに観音様に水をかけてあげましょう。水をかけたら観音様が冷水で身体の穢れをおとす「水ごり」の行を代わりに行ってくれると言われています。
音羽の滝
清水寺の由来となった清水が湧き出る小さな滝です。3本に分かれた筧(かけい)には、向かって右側から「健康」「恋愛や美容」「学業や出世」と、それぞれ異なるご利益があると言われています。用意された柄杓を使って、筧を選んで水を飲みましょう。飲み過ぎると願いが叶わなくなると言われているので、複数の筧から水を飲んではいけません。
近隣のスポット
その他、清水寺近辺にある名所をご紹介します。どちらも清水寺から徒歩5分程度の場所にあるので、清水寺に参拝したときにはぜひ立ち寄ってみてください。
地主神社
「地主神社」は清水寺に隣接する神社です。大国主神を祀っており、縁結びの神社として知られています。社伝によれば日本建国以前からある神社と言われており、実際に境内にある「恋占いの石」は縄文時代からのものであることがわかっています。ほかにも、お地蔵様に水をかけて祈願する「水かけ地蔵」や、五寸釘を打たれた跡が確認できる「いのり杉(のろい杉)」などがあります。
阿弖流為・母禮の碑
阿弖流為(あてるい)と母禮(もれ)は、現在の岩手県奥州市のあたりで勢力を誇った「蝦夷(えみし)」のリーダーです。平安時代初期、桓武天皇の命により派遣された坂上田村麻呂率いる官軍と戦いました。のちに降伏した阿弖流為と母禮は、田村麻呂による助命の嘆願もむなしく、処刑されてしまいます。この碑は、2人の鎮魂慰霊を願い1994年に建立されました。
舌切茶屋
紅葉の清水寺
毎年春・秋には、特別拝観や夜間ライトアップがされますが、とくに秋の紅葉時期は、まるで赤やオレンジの絵の具を散りばめたように色づきます。とくに本堂の舞台から眺める京都市街地と紅葉のコントラストは圧巻で、この時期の京都を象徴する風情が味わえます。
また、夕方以降にはライトアップが行われる日も多く、昼間とはまた違うロマンチックな雰囲気に包まれるのが魅力。ライトアップされた三重塔や仁王門の朱色が、紅葉と一緒に浮かび上がる光景は一度見たら忘れられないほど素敵です。
紅葉シーズンは参拝客が1年のうち最も増えるため、境内も混雑しますが、その分「清水寺らしい熱気」を感じられるとも言えます。人混みを避けたい方は、朝早く訪れたり、平日に狙いを定めたりすると少しゆとりをもって回れますよ。秋の京都を代表する清水寺の紅葉は、まさに「一度は見ておきたい」絶景です。
雪の清水寺
2025年2月8日、京都市中心部が今冬最大の積雪量となる8センチを記録したこの日、清水寺も見事な銀世界に包まれました。
世界遺産として名高い清水の舞台は一時閉鎖されていたものの、多くの観光客が雪化粧をカメラに収めていました。湿度の低い粉雪は屋根の曲線をふんわりと覆い、晴れ間がのぞくと青空とのコントラストが数時間限定の絶景に。
地元商店街でもホット甘酒のサービスやレインコートの販売が行われ、冬ならではのホスピタリティに心が温まる体験に。歴史と雪が織りなすこの貴重な光景は、10年に一度ともいわれる幻想的な瞬間を多くの人々に届けました。
京都駅から清水寺へのアクセス方法
バスで清水寺に行く方法
京都駅から清水寺までは、市バスを利用するルートがやはり王道で便利。京都駅のバスターミナルから出ている「86系統」または「206系統」に乗り、「清水道(きよみずみち)」で下車するのが一般的です。バス停を降りてすぐにある清水坂を約10分ほど歩いていくと境内に到着します。坂の途中は参道として、食べ歩きのお店やお土産屋が軒を連ねているので、観光気分が高まります。
2024年6月から土日祝日とお盆休み・年末年始休みだけ運行する「EX100」「EX101」が利用できます。このバスは観光特急バスなので、路線バスと違い、観光地直通バスです。1乗車大人500円、子ども250円。
「地下鉄・バス1日券」でも乗り放題で乗車できるので、銀閣寺など他の観光地もまわる場合はおすすめです。
タクシーで清水寺に行く方法
タクシーを利用する場合は、京都駅からおよそ15分ほどですが、桜や紅葉の時期は渋滞にハマると時間が読みにくいことも。また、京阪電車「清水五条」駅から徒歩で向かう手段もあります。ただし、駅から清水寺までは20分ほどかかるので、荷物が多いときや歩き疲れを避けたい方はバスかタクシーが無難です。
坂道に慣れていない人は履きなれた靴で行くことを強くおすすめします。道幅の狭いところや石畳が続く場所もあるので、足元はできるだけ動きやすく。せっかくの紅葉を満喫するためにも、交通事情と服装をしっかり押さえておきましょう。京都ならではの風情ある道のりを楽しみながら、すてきな紅葉めぐりをしてください。
名称 |
音羽山 清水寺 |
住所 |
京都府京都市東山区清水1丁目29 |
拝観時間 |
6:00〜18:00 *時期により変動/詳しくは公式HPをご確認ください。 |
拝観料金 |
▼境内 小/中学生:200円 大人(高校生以上):500円 ▼随求堂拝観料(胎内めぐり) 100円 |
アクセス |
市バス/京阪バス五条坂駅より徒歩10分 京阪電車清水五条駅より徒歩20分 |
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