
日本海に沈む夕日と、知られざる「京丹後」
知られざる「海の京都」 京丹後の魅力を聞いてみた
「京丹後って、どこ?」
京都府民でもそう思う人が少なくないこの地は、実はとんでもない“旅のポテンシャル”を秘めています。
日本海に面した京丹後市は、山と海に囲まれた自然豊かな場所。すぐ隣には天橋立、伊根、そして兵庫の城崎温泉と、いわゆる“有名どころ”がひしめく中、なぜ京丹後が注目されていないのか? それは、名前の認知度がまだ十分に浸透していないからだと、京丹後市観光公社の木村専務は話します。
「“京丹後”という名前自体、合併してまだ20年の比較的新しい市なので、観光地としてのブランドはこれからなんです。でも、実際に来てもらえばわかる。自然、食、温泉、夕日、静けさ、全部あるんです。」
この“全部ある”を深掘りすべく、観光公社事務局長の中山さんとともに、京丹後市の魅力を伺いました。
豊かな自然と、美しい“日本海に沈む夕日”
京丹後の象徴とも言えるのが、「夕日ヶ浦(ゆうひがうら)」という名前にも表れるように、海に沈む夕日。近畿圏ではめったに見られないこの光景は、日本海に突き出た丹後半島ならではの絶景です。
「“日本海はじつは春から初夏にかけての海は本当に青く澄んでいて、空も明るい。ハワイより綺麗、なんて声も聞くほどです」と木村専務。
また、海岸沿いは山陰海岸 ユネスコ世界ジオパークにも登録されており、地層や断崖絶壁を楽しめるトレッキングも人気。eバイクやレンタサイクルで自然を満喫するアクティビティも整備されています。
“食材の宝庫”としての京丹後
取材中、何度も繰り返されたワードが「食」。京丹後は、実は全国屈指の“食のまち”でもあります。「2024年美食都市アワード」では、全国5都市(金沢市、鶴岡市、京丹後市、帯広市、雲仙市)の1つとして選ばれました。
冬の「間人ガニ(たいざがに)」は幻のカニと呼ばれ、一人前で5〜10万円の高級料理(宿泊の場合)として知られています。5月からは白イカ、夏からは高級メロン「琴引メロン(6月下旬)」やスイカ、秋にはブドウ、梨など、季節ごとの味覚が絶えません。
「フルーツ狩りも人気で、外国の方は特に台湾や香港から来られています。日帰りが多くなかなか泊まっていただけないので、充実した体験コンテンツを活かし長期滞在へと誘導していきたい」と中山事務局長。
さらに注目は、「冷凍ではない“生の白イカ”をそのまま提供する店」や、「地元で獲れた活けイカを調理して瞬間凍結して旨味を熟成し提供するレストラン」など、鮮度にこだわる京丹後ならではの店も登場しています。
健康長寿の街 × ヘルスツーリズムという提案
京丹後市は“健康長寿のまち”としても有名で、100歳以上の人口比率が全国平均の約3倍という驚異的な数値を誇ります。
「都会での研修や福利厚生を、自然豊かな京丹後でやってもらえたら理想です。企業の“ホワイト化”の一環として、ヘルスツーリズムの拠点になれればと考えています。」
この言葉の通り、京丹後では現在、長期滞在型のプランや企業向けリトリートの整備も進行中。山歩きや温泉、地元食材の料理を通して「旅の中で健康に気づく」体験ができる環境が整いつつあります。
宿泊は春と秋の“閑散期”が狙い目!ふるさと納税「宿泊クーポン」でさらにお得に
京丹後の観光は、冬のカニと夏の海水浴がピーク。それ以外の春・秋、特に4〜7月と9〜10月は観光客が激減し、“閑散期”となります。
「気候も良く、食材も豊富なこの時期にもっと来てほしい」と観光公社のお二人。この時期なら宿泊施設は選び放題。さらに、ふるさと納税の「宿泊クーポン」を使えば、4万円の寄付で1万2千円分のクーポンが受け取れ、約80のお宿から好きな宿を自由に選べるというメリットまで。
観光の“平準化”と地域経済の安定のためにも、この閑散期こそ「行く価値がある季節」なのです。
インバウンドの伸びしろ、ここにあり
現在、京丹後市への外国人宿泊者数は年間1万人強。これは隣接する天橋立の6万人、城崎温泉の8万人と比べるとまだまだ少ない規模です。しかし、そのぶん“オーバーツーリズム”の心配も少なく、静かな旅を求める外国人観光客にとっては理想の地とも言えます。
観光公社ではすでに英語・繁体字ページ(「visit kyotango」)も整備済み。ネイティブスタッフによる発信も進んでおり、情報面での受け入れ体制は万全。
今後は民宿やゲストハウスを中心に、長期滞在を視野に入れたインバウンド戦略も強化していく方針です。
まずは一泊、いや二泊してみて
最後に、京丹後市の楽しみ方を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「できれば最低でも一泊、できれば二泊以上してほしい。美味しいものをゆっくり食べて、温泉に入って、海を見て、夕日を眺めて、静かな時間を感じてほしい。」
旅行の“目的地”として、京丹後は間違いなく穴場。そして今、この“ビハインド京都”が静かに脚光を浴びつつあります。
京丹後市へのアクセス
京丹後市は「遠そうに見えて、意外と近い」。実際には、関西圏からスムーズにアクセスできるルートがいくつもあります。
■ 電車でのアクセス
京都市内から
京都駅からJR山陰本線で「宮津駅」へ(約120分)。京都丹後鉄道で、天橋立、与謝野を経由して、京丹後市 各駅へ(約25〜60分)
大阪市内から
JR大阪駅からJR福知山駅で京都丹後鉄道に乗換え「宮津駅」へ(約140分)。天橋立、与謝野を経由して、京丹後市 各駅へ(約25〜60分)。
■ 車でのアクセス
京都市内から:京都縦貫自動車道〜山陰近畿自動車道経由で約90分。
大阪方面から:中国自動車道〜舞鶴若狭道〜山陰近畿道経由で約120分。