南禅寺の見どころ徹底ガイド!近隣の人気スポットやグルメもご紹介
紅葉がきれいな名刹として知られる南禅寺。京都五山の別格とされる格式の高い禅寺でありながら、境内には洋風建築の水路閣が通り、個性的な景観が人気です。本記事では、南禅寺の魅力あるおすすめスポットを取り上げてご紹介します。
目次
南禅寺とは?
南禅寺は臨済宗南禅寺派の大本山です。亀山天皇の発願により創建され、最高位の禅寺として、とくに優れた禅僧が住職を歴任してきました。
境内は応仁の乱で一度ほとんどを焼失していますが、江戸時代に徳川家康の参謀でもあった以心崇伝が住職となってから復興しました。明治維新後は神仏分離令で広大な境内が縮小されたものの、周辺に琵琶湖疎水の水流が引き込まれ邸宅地として再開発されたことにより、様々な名勝が生まれています。
また南禅寺の境内には、明治時代に建設された琵琶湖疎水の水路閣が通り、独特の景観を作っています。建設当時は大きな反対もあったそうですが、現在は境内全体が国の史跡とされ、京都屈指の観光スポットとなりました。
絶景を見下ろす三門
南禅寺の三門は、別名「天下竜門」とも呼ばれています。知恩院や東本願寺の門とともに京都三大門に数えられ、国の重要文化財です。上層の「五鳳楼」は拝観が可能で、本尊の宝冠釈迦座像が安置されるほか、狩野探幽による天井画や鳳凰の図も鑑賞できます。
また南禅寺の三門といえば、歌舞伎に出てくる石川五右衛門の「絶景かな」というセリフが有名です。実際には、石川五右衛門が生きていた頃の三門は火災によって焼失し、現在あるのは江戸時代のもの。大阪夏の陣で戦死した武士たちを弔うために再建されたのだそうです。とはいえ、今でも地上約22メートルの高さから眺める景色は、思わず「絶景かな」と呟きたくなるほど見事ですよ。
ノスタルジックな水路閣
境内の奥を通るレンガ造りの水路閣は、寺院の風景と豊かな緑に溶け込んだアーチ型の橋脚が美しく、ドラマや映画の撮影にも使われるスポットです。高さは約9メートル、全長は93.2メートルあり、設計とデザインは琵琶湖疎水の開発に尽力した田邉朔郎氏が手掛けました。
水路閣が境内を通ることになった理由は、建設を進めるなかで、元々予定していたルートが亀山法皇の分骨所に影響することが発覚してしまったからだそうです。思いがけなく境内を通過することになった水路閣が、結果的には唯一無二の景観を生み出すことになったのですね。
トンネルを覗いたり桜や紅葉とともに撮影したりと、水路閣の下で景観を楽しんだ後は、脇にある階段をのぼってみましょう。今も現役の水路として使用されているため、上から水が流れる様子を見ることができますよ。
周囲の緑も美しい法堂
法堂は南禅寺の行事や法要が行われる中心的な場所で、本尊の釈迦如来と右に文殊菩薩、左に普賢菩薩を安置しています。南禅寺の三門から法堂へと続く参道は豊かな緑に囲まれ、南禅寺のなかでもとくに紅葉が美しいスポットです。
創建当初の法堂は一度焼失して復興、その後豊臣秀頼によって大改築されたものの再度焼失しています。現在の法堂は、明治42年に再建されたものだそうです。
内部は拝観できませんが、小さな穴から中を覗けるようになっています。天井には明治から大正にかけての画家・今尾景年が描いた「蟠龍図」があり、天に昇る前のとぐろを巻いた龍を表現した大作なので、ぜひ目を凝らして覗いてみてください。
国宝の日本建築・方丈
法堂よりさらに奥へ進むと方丈があります。南禅寺は三門から法堂、そして水路閣の外観だけを観る人も多いようですが、方丈では国宝の建築や優美な日本庭園を堪能できます。時間があればぜひ拝観しましょう。方丈は大方丈と小方丈に分かれているため、それぞれご紹介します。
①大方丈
大方丈は、日本の伝統的な屋根形式である入母屋造の建物です。旧御所を移築したと伝わり、内裏清涼殿または女院御所の対面御殿のいずれかといわれています。どちらにしても、近代の宮室建築を鑑賞できる貴重な場所です。仏間を覗いた各部屋にある、狩野派の障壁画も見事なので注目してください。
②小方丈
小方丈は伏見城の小書院を移築したもので、大方丈の後ろに接続しています。内部には狩野探幽作と伝わる群虎図の襖絵があり、とくに迫力のある「水呑の虎」は必見です。また、小方丈には「如心庭」と呼ばれる枯山水庭園があります。石を「心」の字に配置し解脱の心を表しているそうで、静かな趣を味わえる庭です。
小方丈をさらに奥へ進むと、「六道庭」と呼ばれる六道輪廻(迷いの世界)を表した庭があります。如心庭と対比した庭として、まったく雰囲気の異なる空間が広がっているので、ぜひ見比べてください。
「虎の子渡しの庭」方丈庭園
大方丈の南側にある方丈庭園は、小堀遠州の作庭と伝わる枯山水の庭で、国の重要文化財です。大きな石にいくつかの小さな石が続くように配置された様子が、海を泳ぐ虎の親子に見えるとされ、「虎の子渡しの庭」と呼ばれています。また、庭の後ろにある東山が借景となり、雄大な雰囲気もある庭です。座ってじっくり鑑賞することをおすすめします。
本坊の滝の間でお抹茶を一服
本坊には滝の間と呼ばれる部屋があり、琵琶湖疎水から引いた滝が流れる庭を眺められます。受付でお抹茶券をいただくことで入室でき、滝の音に癒されながら、お抹茶と南禅寺限定のお茶菓子を味わえるのでおすすめです。混雑する時期は予約が必要な場合もありますので、あらかじめ確認しておくことがおすすめです。
南禅寺発祥の地・南禅院
南禅院は、元々は亀山天皇の離宮でした。出家して亀山法皇となった際、離宮を寺院としたのが南禅寺の起こりです。南禅寺の拡大とともに南禅院は塔頭となりましたが、南禅寺発祥の地として、また亀山天皇の御木像が安置されている場所として大切にされています。現在の方丈は、一度焼失した後に徳川綱吉の母・桂昌院によって再建されたものです。離宮の頃の面影を残した池泉回遊式庭園が見どころで、古くから京都の三名勝史跡庭園のひとつとされてきたそうですよ。
近隣のスポット
南禅寺の周辺には、ほかにもたくさんのおすすめスポットがあります。いくつかピックアップしましたので、ぜひ参考に近隣を散策してみてください。
禅林寺 (永観堂)
禅林寺は、通称「永観堂」で知られる浄土宗西山禅林寺派の総本山のお寺です。約3,000本のモミジが色づく紅葉が見事で、秋には夜間ライトアップもあり、たくさんの人が訪れます。また本堂に安置されている阿弥陀如来像は「みかえり阿弥陀」と呼ばれ、左に振り向いた珍しい姿で必見です。新緑の頃の青もみじも素晴らしいですよ。
蹴上インクライン
蹴上インクラインは、南禅寺の近くにある傾斜鉄道の跡地です。琵琶湖疎水を運行する船が勾配のある場所を通過できるように作られたもので、明治時代から昭和初期まで使われていました。一度は線路を撤去したものの、産業遺産として昭和52年に復元され、ノスタルジックな観光スポットとして人気を博しています。また線路沿いの桜や紅葉など、季節ごとの景色も大変美しい場所です。
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哲学の道
哲学の道は、琵琶湖疎水の分線に沿い、熊野若王子神社から銀閣寺の辺りまで続く約1.5kmの散歩道です。哲学の道という名前は、哲学者の西田幾太郎をはじめとした学者や文人が好んで歩き、思索にふけったことに由来しています。一時は荒廃していたそうですが、地元の人の熱意で現在の状態に整備されました。四季折々の景観を眺めたり、道沿いにある神社仏閣に立ち寄ったりと見どころも豊富です。
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南禅寺 順正
南禅寺 順正は、南禅寺の門前にある料亭で、名物・湯豆腐を味わえる店として知られています。湯豆腐は寺院の精進料理として、また南禅寺門前の茶屋料理としてふるまわれたのが始まりなのだとか。店舗は江戸時代の医学学問所「順正書院」を使用しているそうで、歴史ある建物と回遊式庭園を眺めながら食事を楽しめます。
日の出うどん
日の出うどんは南禅寺の北側、永観堂や哲学の道の入り口付近にある店です。店内はどこか懐かしい、昔ながらの食事処という雰囲気。映画のロケ地にもなり、昼どきにはいつも行列ができています。名物はカレーうどんで、だしの効いたカレースープがやわらかいうどんに絡んで美味しいと評判です。甘く煮たお揚げや肉入りのカレーうどんも絶品なので、ぜひ食べてみてください。
CAFE Dot.S
「CAFE Dot.S(カフェドットエス)」は京都市動物園の向かいにあるカフェで、南禅寺から西へ歩いて15分ほどのところにあります。メルセデス・ベンツの車smartを販売する「スマートセンター京都ザ・ガーデン」に併設され、店内はとてもスタイリッシュな雰囲気。受賞歴を持つバリスタの手によるラテアートも楽しめる店で、南禅寺周辺のおしゃれなカフェに立ち寄りたい方にはぜひおすすめです。
ブルーボトルコーヒー 京都カフェ
アメリカのサンフランシスコで生まれたブルーボトルコーヒーは、全国的にも人気のカフェ。南禅寺門前の「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」は、築100年以上の京町屋を利用した店舗で、京都らしい風情を感じつつ美味しいコーヒーを味わえます。町屋は2棟あり、奥がカフェ棟、手前が「はなれ」と呼ばれる物販棟です。はなれの2階にはコーヒーとデザートのコースメニューを楽しめる、春と秋限定の予約制フロアもあり、本格的なコーヒー体験ができますよ。
南禅寺 情報
名称 |
南禅寺 |
住所 |
京都市左京区南禅寺福地町 |
拝観時間 |
8:40~17:00(12/1~2/28は16:30まで) |
拝観料金 |
▼方丈庭園 小 ▼三門 小 ▼南禅院 小 |
アクセス |
市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩10分 |
HP |
https://nanzenji.or.jp/ |