
詩仙堂の見どころ 紅葉と静寂と癒しの庭園
詩仙堂(しせんどう)は、江戸時代初期の隠棲者・石川丈山が建てた山荘で、苔庭や四季折々の花々が楽しめる庭園の静寂と自然美が素晴らしく、京都の観光スポットの中でも特に落ち着いた雰囲気が特徴です。本記事では、詩仙堂の見どころや周辺のおすすめスポットを詳しくご紹介します。
目次
詩仙堂とは?
一乗寺から坂を上がったところにある詩仙堂は、江戸時代初期に石川丈山によって創建された山荘です。正式名称は「詩仙堂丈山寺」といい、中国の詩人36名の肖像を飾った「詩仙の間」が名前の由来です。全体は「凹凸窠」(おうとつか。こぼこした土地に建てたことに由来)」であり、詩仙堂はそのなかの一室になります。
石川丈山とは?
丈山は、1583年、三河国(愛知県安城市)に生まれ、大阪夏の陣までは徳川家康に仕えた後、文人として京都で儒学者の藤原惺窩(ふじわらせいか)に朱子学を学び、59歳で、一乗寺のこの地で隠遁生活を送りはじめ、90歳で亡くなるまで、儒学、詩、書、茶道、庭園設計に没頭しました。東本願寺枳殻邸(渉成園)の庭園は丈山の作庭だそう。
詩仙堂は書院造りの伝統的な建築様式ですが、周囲を竹林や苔庭が取り囲み、比叡山を借景に取り入れた景観は、四季折々の美しさを見せてくれ、その優雅な佇まいは丈山の美意識を反映しています。
また、庭園に流れる「鹿おどし」の音や、緑豊かな環境は、街なかの喧騒から逃れ、心を落ち着かせる特別な時間をすごせるので、単なる観光地としてだけでなく、日本の自然と文化の癒しの空間として、多くの人に親しまれています。
詩仙堂の入口の「小有洞の門」
参道を登った先にある老梅関
詩仙堂の見どころ┃詩仙の間
「詩仙の間」は、中国の詩人36名の肖像画が飾られた部屋で、詩仙堂の象徴ともいえる場所です。壁面を飾る肖像画は狩野探幽によるもので、それに丈山がそれぞれの詩人の功績や特徴を書き加えています。この36詩人の選定は、日本の36歌仙にならったのだそう。
石川丈山の深い文学的知識を垣間見ることができ、この部屋で時間を過ごすと、詩や文学に触れる静かなひとときを楽しむことができます。
詩仙堂の見どころ┃庭園と苔庭
詩仙堂の庭園は、石川丈山自身が設計した枯山水と苔庭が調和した空間です。とくに、春のツツジや秋の紅葉、冬の雪景色が庭を彩り、訪れるたびに異なる表情を楽しめます。枯山水は、奥に山々とも島々を表しているともいわれる、丸く刈られた皐月の大刈り込みがあり、手前の地面の白砂には気品を感じさせる筋がつけられ、中に一石だけ据えられています。
書院を出て苑路を進むと、まず蒙味(もうみ。愚かで物事の道理を知らないこと)を洗い去る滝という意味の洗蒙瀑があります。
洗蒙瀑
その先に、2つの階段でつながれた3段構成のお庭がひろがります。お庭全体の広さは1090㎡もあるのだそう。奥の庭の中心には心字池が配され、石仏や竹垣が静けさを強調しています。
お庭から見える本堂2階の嘯月楼(しょうげつろう)
詩仙堂の見どころ┃鹿おどしの音
庭園には園の水を利用した「鹿おどし」があります。鹿や猪が庭園を荒らすのを防ぐこととともに、その心地よい音が風情を感じさせます。静寂の中に響く鹿おどしの音色は、丈山自身も愛したそうで、まさに詩仙堂の静けさを象徴する存在です。
詩仙堂の見どころ┃茶室 残月軒
奥のお庭の片隅にあるのが、石川丈山が茶を楽しんだ茶室 残月軒。丈山が月明かりを楽しみながら静かに茶をたしなんだとされる場所です。名前の「残月」には、満月ではなく欠けていく月の趣を楽しむという美意識が感じられます。
詩仙堂 情報
名称 |
詩仙堂丈山寺 |
住所 |
京都市左京区一乗寺門口町27 |
電話 |
075-781-2954 |
拝観時間 |
9:00~17:00(拝観休止日:5月23日) |
拝観料金 |
大人700円 高校生500円 小中学生300円 |
アクセス |
叡山電車「一乗寺駅」より 徒歩約15分 市バス5系統、北8系統「一乗寺松町」下車、徒歩5分 |
HP |
https://kyoto-shisendo.net/ |