
甘味処 月ヶ瀬 夏の風物詩「月ヶ瀬梅氷」
1926年、大正時代の終わりに創業した「月ヶ瀬」。御菓子司「若狭屋吉勝」に併設するかたちで始まったこの店は、以来一世紀近くにわたり、京の味を守り続けてきました。
代表商品の「あんみつ」や「ぜんざい」に使われる素材は、丹波大納言小豆や赤えんどう豆といった、全国各地から取り寄せた最上級のものばかり。手間を惜しまない調理と丁寧な仕込みによって、京都の四季を映し出す一椀が提供され続けてきました。
店舗は2つ。烏丸御池の堺町店は、落ち着いた空間でゆっくり甘味と向き合える仕様。女性ひとりでも心地よく過ごせるように設えたローテーブルやテーブル席が並びます。
一方の京都高島屋店は、アクセス抜群の百貨店内にあり、買い物途中に立ち寄る観光客にも人気です。それぞれの店舗で提供メニューが異なり、例えば堺町店では軽食セット「むしやしない ミニ点心」が楽しめる一方で、高島屋店では季節限定の創作甘味が登場することもあります。
月ヶ瀬梅氷 1,350円
そんな月ヶ瀬が夏季限定で提供するのが「月ヶ瀬梅氷」。老舗の名を冠するにふさわしい、素材・技法・味の三拍子が揃ったかき氷です。
主役となるのは、奈良県月ヶ瀬梅林で収穫された梅。酸味が際立つだけではなく、旨みとまろやかさを感じさせるのがこの梅の特徴です。これを時間をかけて漬け込んだ自家製の梅シロップは、さっぱりとした後味の中にコクがあり、ふわりと舞うような口どけの氷との相性は抜群。
トッピングには、青梅の翡翠煮と、梅を薄くのばして乾燥させた「のし梅」。翡翠煮は果肉がジューシーで、ひと口ごとに柔らかな酸味がじんわりと広がります。のし梅は噛むほどに味わいが増し、全体に立体感をもたらすアクセントに。さらに別添えされる白玉を添えれば、もっちりとした食感が加わり、甘味の世界にもう一歩、奥行きを加えてくれます。
夏の京都に、ほんの少しの余白を
氷が少しずつ溶けてゆくあいだ、梅の風味がより優しくまろやかに変化していく過程もまた、このかき氷の魅力のひとつです。甘みだけでない、酸味・香り・食感、それぞれが時間とともに変化し、ひとつの器の中に小さなドラマを生み出します。
暑さを避けるためのかき氷ではなく、老舗の技術と自然の恵みに出会うためのかき氷。そんな気持ちで味わってみてはいかがでしょうか。
店名 | 月ヶ瀬 堺町店 |
住所 |
京都市中京区丸木材木町675-103 |
アクセス |
地下鉄 烏丸御池駅 徒歩4分 |
定休日 | 水・木 (祝日の場合は翌日) |
電話番号 |
075-212-1959 |
公式サイト |
https://tsukigase.jp |