「今年の漢字®」　漢字ミュージアムで出会う日本の30年を振り返る「今年の漢字展」

京都・祇園にある漢字ミュージアムで「今年の漢字展」が開催されています。

「今年の漢字」を通じて、各年の出来事を振り返りながら、過去と現在をつなぐ企画展は、時代ごとの世相を象徴する一文字を手がかりに、日本社会の歩みを感じられる内容となっています。

これまでに書き上げられた大きな書が一堂に集まり、約30年分の時代の流れを振り返る構成となっています。ニュースで見聞きした記憶と結びつけながら展示を見進めることで、日本社会の変化を実感できる内容です。

漢字ミュージアムとは

漢字ミュージアムの正式名称は「漢検 漢字博物館・図書館」です。2016年に開館した、日本で初めて漢字を専門に扱うミュージアムで、祇園エリアにあり八坂神社の近くに立地しています。

館のテーマは、漢字を「見る・触る・学ぶ・体験する」ことです。展示を見るだけでなく、体験型の仕組みを通して漢字の成り立ちや意味を理解できるよう設計されています。


　

漢字の歴史を学べる展示

1階フロアでは、約30メートルにわたる「漢字歴史絵巻」や、『大漢和辞典』に収録された約5万字を並べたタワー展示があります。漢字の歴史を視覚的にたどることができ、日本語がどのように形づくられてきたのかを整理して理解できます。

また、最新の「今年の漢字」の大書も展示されており、2025年の大書「熊」は、12月23日から展示されています。

30年分の大書が並ぶ「今年の漢字展」のみどころ

本企画展では、1995年から直近までの「今年の漢字」の大書を実物で見ることができます。清水寺で書き上げられた書の中には「金」「戦」「災」「税」など複数回書かれた漢字もありますが、書体や筆遣いに違いがあり、年ごとの特徴が表れています。

展示では筆や墨に関する説明もあり、書としての側面から漢字を見ることができます。また、「今年の漢字」の行事についても紹介されており、募集から発表までの流れを知ることができます。

大書とともに注目したいのが、漢字に合わせて制作された額縁のデザインです。漢字の意味やその年の出来事を意識した意匠が施されており、文字だけでなく展示全体から情報を読み取る楽しさがあります。

触れて理解する体験型展示

2階には20以上の展示ブースがあり、タッチパネルやマグネットボードなどを使って漢字に触れられる構成です。ゲーム感覚で読み方や意味を確認できるため、知識に自信がなくても取り組みやすい内容です。

週末や長期休みにはワークショップが行われることもあり、学びの幅が広がります。館内には漢字や日本語に関する書籍が並ぶ図書館エリアもあり、展示で気になったテーマをさらに深めることができます。

一部を除き撮影が可能で、巨大な湯のみ型の展示など記念撮影に適した場所も設けられています。

関心に合わせて回れる漢字ミュージアム

漢字ミュージアムでは、来館者の目的に応じて見学することができます。家族向け、友人同士、一人でじっくり見たい方、学習目的の方など、関心に合わせて回ることができます。

漢字の歴史を中心に見たい場合は1階から回り、体験展示を重視する場合は2階を長めに確保するなど、時間配分を調整しやすい点も特徴です。

漢字から知る京都ならではの文化体験

「今年の漢字展」は、漢字という身近な存在から、現代日本に焦点を当てた内容になっており、京都観光の中でも異なる視点を提供してくれます。

文字を通して時代を振り返る体験を、旅の一部として取り入れてみてはいかがでしょうか。