「木津御輿祭」｜200年続く伝統を未来へつなぐ秋祭り

「木津御輿祭（きづみこしまつり）」は、江戸時代末期の1818年（文政元年）頃から200年以上続く、五穀豊穣を祈願する伝統的なお祭りです。木津川市の秋を彩る、地域の人々が大切に受け継いできた行事でもあります。

拝殿の周りを回る「拝殿廻り」と女性も活躍する「華組」

祭りの最大の見どころとなる「拝殿廻り」。御霊神社や岡田国神社などの境内で、総重量1トン近い御輿を担ぎ手たちが力を合わせて拝殿の周囲を何度も回ります。

響く掛け声に合わせて揺れるのは、「布団御輿」と呼ばれる御輿の屋根に、美しい刺繍入りの布団が3枚重ねられた姿。動くたびに砂煙が舞い上がり、御輿の中で子供たちが叩く太鼓の響きとともに、観客の熱気は最高潮に。豪華さと迫力ある動きが、見る人の心を一気に引きつけます。



木津御輿祭はかつて“男祭り”と呼ばれるほど男性中心の行事でした。しかし、近年は担ぎ手不足への対応や祭り継承のため、新しい試みが取り入れられています。そのひとつが女性担ぎ手グループ「華組」です。

御輿は非常に重いため、女性だけで担ぐことはできませんが、4本ある担ぎ棒のうち1本を交代制で担いだり、短時間ながらも勇敢に参加したりする姿は、祭りの新しい風景となっています。

法被に込められた各組の個性

祭りでは「敬神組」「拝神団」「義友会」「小寺」「社町」など、地域ごとの組が御輿を出します。各組の担ぎ手は刺繍や染めに工夫を凝らした個性豊かな法被を身にまとい、それぞれの誇りを表現します。御輿だけでなく、被のデザインにも注目すると、祭りをより深く楽しむことができます。




木津川市の指定文化財にもなっている木津御輿祭。かつては9基の御輿が市内を練り歩いていましたが、近年は担ぎ手や子どもの参加者不足から、5基前後の御輿が巡行する形へと変化しています。それでも、祭りの熱気と迫力は今も健在です。

木津御輿祭では、観客として楽しむだけでなく、担ぎ手として参加することもできます。市の観光商工課や運営委員会では毎年参加者を募集しており、男女問わず応募が可能です。実際に御輿を担ぐことでしか味わえない一体感と高揚感は格別。伝統を支える一員として、地域の人々と共に歴史を刻む貴重な体験をしませんか。

お問い合わせ先▼
木津川市役所観光商工課:0774-75-1216