【北野天満宮】終い天神　年の終わりを迎える京都の一日

京都の北野天満宮では、毎月25日を「天神さん」と呼び、神様と縁を結ぶ日として大切にしてきました。その中でも、12月25日の終い天神は、一年を締めくくる特別なご縁日です。

境内と周辺に市が立ち、参拝とともに年末の準備を整える人々でにぎわいます。学問の神様として信仰を集めてきた北野天満宮ですが、終い天神の日は、信仰と暮らしが重なる京都らしい年末の風景に出会える一日でもあります。


　

毎月25日に続く「天神さんの日」

天神さんのご縁日が毎月25日とされるのは、御祭神である菅原道真公が6月25日に誕生し、2月25日に亡くなったことに由来します。この日が道真公にとって特別な日であることから、月命日として大切にされてきました。

京都では21日の弘法さんと並び、蚤の市としても知られています。中でも12月の終い天神は、ほかの月とは性格の異なる特別な市として続いてきました。


　

終い天神ならではの特徴①　迎春準備の市

終い天神は「迎春準備の市」としての色合いが強いことが大きな特徴です。普段の天神市では骨董品や古着が中心ですが、終い天神の日には正月を迎えるための品を扱う露店が多く並びんでいました。

祝箸、しめ縄やお正月飾り、葉牡丹や植木、荒巻鮭、数の子、すぐき漬けなど、年末ならではの品が目に入り、これらを終い天神で揃えて正月を迎えるというのが、京都の人々に受け継がれてきた暮らしのかたちです。参拝と買い物が自然につながり、年の終わりを実感できる時間が流れていました。


　

　

　

終い天神ならではの特徴②　大福梅を求めて

終い天神の時期に合わせて、多くの参拝者が求めるのが北野天満宮の縁起物「大福梅」です。境内で採取され、塩漬けの後に夏の土用干しを経た梅干しで、古くから親しまれてきました。

元日の朝、祝膳の初茶や白湯に大福梅を入れて飲むと、その年を無事に過ごせると伝わっています。授与は12月13日頃から始まりますが、終い天神の日に合わせて受け取る人も多く、年末の風物詩として定着していることが感じられました。


　

終い天神ならではの特徴③　一年最大級のにぎわい

終い天神は、1月の初天神と並び、年間でも特に多くの人が訪れる日です。境内と周辺には約1,000軒の露店が並び、朝早くから地元の人や観光客が集まっていました。


　

　

境内を歩きながら過ごす終い天神

一の鳥居から参道にかけて露店が連なり、楼門をくぐって手水舎で身を整え、御本殿へ向かいます。境内に点在する牛の像の前で手を合わせる参拝者の姿も見られました。宝物殿では、北野天神縁起絵巻などを通して天神信仰の歩みを知ることもできます。

初天神との違いから見える終い天神の役割

終い天神は、一年を無事に過ごせたことへの感謝や報告の意味合いが強く、同じご縁日でありながら、人々の向き合い方に違いが見られました。

一方で1月25日の初天神は、新しい一年の始まりを意識した参拝が中心で、多くの受験生が参拝に来ます。


　
また、天神の日は、境内の長五郎餅のお店も開いています。


　

　

長五郎餅について詳しくはこちら

年の終わりに天神さんと向き合う

1年を締めくくる行事として長く続いてきた終い天神。迎春準備の市、大福梅、にぎわう参道を通して、京都の年末が形づくられてきたことが実感できます。