京都市京セラ美術館「大どろぼうの家」体験型展覧会で物語に入り込む時間
展覧会「大どろぼうの家」

京都市京セラ美術館「大どろぼうの家」体験型展覧会で物語に入り込む時間

京都市京セラ美術館で開催されている展覧会「大どろぼうの家」は、来場者が物語の登場人物として参加する体験型の展示です。会場は本館 北回廊2階、会期は2026年4月11日から6月14日まで。展示を見て回るだけではなく、自分で考えながら進む構成で、子どもから大人まで楽しめる内容になっています。

“侵入する”ことから始まる展覧会の楽しみ方

この展覧会は、「最後の盗みに出た大どろぼうの家に忍び込む」という設定で進みます。来場者は大どろぼうの正体を探るため、屋敷の中を巡りながら手がかりを集めていきます。展示は一方的に見る形式ではなく、自分で考え、推理しながら進む点が特徴です。

会場は複数の部屋で分かれており、それぞれに物語のヒントが散りばめられています。展示物の意味を読み取りながら進むことで、自然とストーリーに入り込めるつくりです。美術館での鑑賞とは異なる体験ができるため、普段あまり展示を見ない人でも参加しやすい内容です。

8つの部屋で進むストーリーと展示構成

展覧会は、大どろぼうの家にある8つの部屋を巡る構成です。最後の盗みに出て今は誰もいない屋敷の中で、それぞれの空間に残された手がかりをたどりながら物語を読み解いていきます。

緑の回廊

古今東西の大どろぼうたちの肖像画が並びます。石川五右衛門やペルージャ、ホッツェンプロッツ、すてきな三にんぐみ、ラプトルまで、多彩なモチーフの作品が回廊を彩ります。いずれも大どろぼうから依頼されて描かれたという設定で、展示の導入として世界観をつくっています。


 緑の回廊 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ

さらに、京都市京セラ美術館のリニューアル以降、玄関から姿を消していたロダンの彫刻がこの場所に置かれている点も見どころです。

京都展オリジナル オーギュスト・ロダン 《アダム》 1880年 京都市美術館蔵
 

青の応接間

大どろぼうが学びのために集めた本が並び、建物や鍵、警備に関する知識が蓄えられています。室内には変装道具も展示されており、観察していくと大どろぼうが引退を決めた理由につながる要素も見えてきます。

青の応接間 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ
 

赤の隠し部屋

3世代にわたるどろぼうたちのコレクションが並びます。グッズや絵本などから、それぞれの時代背景や年齢を推測できる構成です。並んだアイテムを見ていくことで、家に暮らしてきた人物像が少しずつ浮かび上がります。

赤の隠し部屋 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ
 

銀の庭

宇宙に関心を持っていた大どろぼうが集めた詩の空間です。谷川俊太郎の詩をもとにしたインスタレーションで、朗読と音によって構成されています。京都展では、詩を持ち出した際に撮影された自宅の写真や、本人が演奏していたカリンバも展示されています。

銀の庭 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ
 

白の小部屋

さくらももこや加藤久仁生の作品など、アート好きのどろぼうが集めた作品が並びます。

白の小部屋 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ ©さくらももこ
 
京都展では京都市京セラ美術館の収蔵庫から持ち出されたという設定のもと、ゴヤやルノワールの作品も展示されています。普段は展示されていない作品が並ぶのも見どころです。

京都展オリジナル フランシスコ・デ・ゴヤ 《ブラヴィッシモ》 『ロス・カプリチョス』より 1799年初版 1878年刊 京都市美術館蔵
 
京都展オリジナル ピエール=オーギュスト・ルノワール 《裸婦》 1919年 京都市美術館蔵
 

黒の壁

日常の中でなくなってしまったものに着目した展示です。片方だけなくなった靴下など、身近なテーマをもとに、どろぼうの行動を考える内容になっています。なぜ黒い空間なのか、なぜ片方だけなのかを想像しながら見ることで、展示の見え方が変わります。

黒の壁 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ
 

トリコロールの廊下

大どろぼうが後継者育成のために絵本制作を企画した設定が描かれています。ヨシタケシンスケによる原画が展示されており、制作の背景も含めて楽しめる内容です。どろぼうになりきれるフォトスポットも設けられています。

トリコロールの廊下 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ ©ヨシタケシンスケ
 

光の蔵

屋敷の最奥にある空間です。大どろぼうが集めた品や日用品が並び、日常から消えてしまった物が集められています。芸人の小道具なども含まれており、幅広いジャンルの展示になっています。

光の蔵 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ

出口には赤外線の仕掛けがあり、反応すると音が鳴る演出が用意されています。無事に通過できた来場者には、大どろぼうからの秘密のメッセージが用意されています。

光の蔵 会場イメージ 撮影:髙橋マナミ
 

書籍やオリジナルグッズも充実

会場では展覧会に関連した書籍やオリジナルグッズも販売されています。物語の世界観をもとにしたデザインが多く、展示を見た後に内容を振り返るきっかけになります。

図録や関連書籍では、展示で扱われている設定や背景をより詳しく知ることができ、展覧会の理解を深めたい人におすすめです。グッズは日常で使いやすいアイテムも多く、旅の記念としても選びやすいラインナップになっています。

大どろぼうになれるヘアバンド 撮影:清水奈緒 ⒸShinsuke Yoshitake
 
トートバッグA(青) トートバッグB(緑)
撮影:清水奈緒 The Three Robbers, Copyright © Tomi Ungerer Estate and Diogenes Verlag AG, Zurich

 
ホッツェンプロッツ Tシャツ(ブラック)
撮影:清水奈緒 O. Preußler/F.J. Tripp: Der Räuber Hotzenplotz © Thienemann Verlag

京都市京セラ美術館という場所の魅力

会場となる京都市京セラ美術館は、日本を代表する近代美術館のひとつとして知られています。本館は歴史ある建築で、重厚な外観と広い回廊が特徴です。一方で新館は現代的なデザインで構成されており、異なる空間が一体となった構造になっています。

今回の展覧会は本館の回廊を活かしており、空間そのものが物語の一部として機能しています。建物の特徴と展示内容が合わさることで、より没入感のある体験につながっています。

周辺には平安神宮や岡崎公園、他の文化施設も集まっており、エリア全体で文化に触れる時間を過ごすことができます。美術館だけでなく周辺も含めて楽しめる点は、この場所ならではです。

体験型展覧会としての新しさと楽しみ方

「大どろぼうの家」は、見るだけの展覧会とは異なり、来場者自身が物語に関わる構成になっています。アート、ストーリー、謎解きが組み合わさり、一つの体験としてまとまっている点が特徴です。

家族で訪れて一緒に考えたり、友人同士で意見を出し合いながら進んだりと、複数人で楽しむこともできます。もちろん一人でじっくり考えながら進むこともでき、それぞれの楽しみ方ができる内容です。

展示の見方や気づき方によって印象が変わるため、同じ空間でも異なる体験になる点も面白さのひとつです。京都での新しい体験ができる展覧会です。

――《あなたは大どろぼうの正体にたどり着けるか》――

展覧会名 展覧会「大どろぼうの家」
会期 2026年4月11日(土)〜6月14日(日)
会場名 京都市京セラ美術館 本館 北回廊2階
開館時間 10:00〜18:00(最終入場は17:30)
住所 京都市左京区岡崎円勝寺町124
アクセス 地下鉄東西線 東山駅 徒歩約8分
休館日 月曜日(ただし、5月4日(月・祝)は開館)
電話番号 075-771-4334
入場料 一般1,900円/大学・高校生1,200円/小学・中学生700円
公式サイト https://www.ktv.jp/event/oodoroboukyoto/
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