泉屋博古館の特別展「没後100年記念 住友春翠—仕合せの住友近代美術コレクション」を主任学芸員に聞く
2026年10月31日(土)から12月20日(日)まで、泉屋博古館(せんおくはくこかん)で特別展「没後100年記念 住友春翠—仕合せの住友近代美術コレクション」が開催されます。
住友家15代当主・住友春翠が集めた名品の数々について、泉屋博古館東京の主任学芸員・椎野さんにお話を伺いました。

藤島武二《幸ある朝》明治41年(1908)泉屋博古館東京
今回の展覧会では、春翠が1926年に亡くなるまでの約30年間に収集した作品を紹介します。後の世代が集めた作品は含めず、春翠自身の時代に収集されたものに焦点を当てているのが特徴です。
安藤重兵衛《銀七宝孔雀尾花瓶》明治36年(1903)個人蔵
迎田秋悦《秋草蒔絵硯箱》大正時代・20世紀 泉屋博古館東京 (前期展示)
重要文化財 板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》大正6年(1917)泉屋博古館東京
クロード・モネ《モンソー公園》1876年 泉屋博古館東京 (後期展示)
山田秋坪《柘榴花白鸚鵡図》大正9年(1920)泉屋博古館東京 (後期展示)
住友春翠の美意識や文化への思いを知ることで、作品の見方も少し変わるかもしれません。特別展を通して、住友家が受け継いできた美の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
尾竹竹坡《九冠鳥》(右隻)明治45年(1912)泉屋博古館東京
尾竹竹坡《九冠鳥》(左隻)明治45年(1912)泉屋博古館東京
住友家15代当主・住友春翠が集めた名品の数々について、泉屋博古館東京の主任学芸員・椎野さんにお話を伺いました。

藤島武二《幸ある朝》明治41年(1908)泉屋博古館東京
住友春翠とはどんな人物?
――住友春翠は、どのような人物だったのでしょうか?
「春翠は、もともと住友家の生まれではなく、公家の徳大寺家の出身なんです。
当時の住友家では、後継者を必要としており、そこで、学習院に通っていた春翠が、優秀で品行方正な人物として見込まれ、住友家に迎えられたんです。1893年、28歳で住友家の第15代当主となりました。」
「春翠は、もともと住友家の生まれではなく、公家の徳大寺家の出身なんです。
当時の住友家では、後継者を必要としており、そこで、学習院に通っていた春翠が、優秀で品行方正な人物として見込まれ、住友家に迎えられたんです。1893年、28歳で住友家の第15代当主となりました。」
今回の展覧会では、春翠が1926年に亡くなるまでの約30年間に収集した作品を紹介します。後の世代が集めた作品は含めず、春翠自身の時代に収集されたものに焦点を当てているのが特徴です。
安藤重兵衛《銀七宝孔雀尾花瓶》明治36年(1903)個人蔵個人の趣味だけではない、住友家のコレクション
――春翠のコレクションには、どのような特徴があるのでしょうか?
「春翠のコレクションは、個人の好みだけで集められたものではないんです。
住友家は江戸時代初期から続く名家ですから、春翠には当主として、住友家にふさわしい美術品を選ぶことが求められたように思います。それに、邸宅は家族が暮らす場所であると同時に、国内外の要人をおもてなしする場でもあったんです。そうした役割を担いながら、春翠自身の美意識も反映されたコレクションといえます。
絵画だけでなく、工芸や彫刻など幅広いジャンルの作品があるので、それぞれの分野に興味を持つ方が来館され、展示を楽しんでいらっしゃいます。」
「春翠のコレクションは、個人の好みだけで集められたものではないんです。
住友家は江戸時代初期から続く名家ですから、春翠には当主として、住友家にふさわしい美術品を選ぶことが求められたように思います。それに、邸宅は家族が暮らす場所であると同時に、国内外の要人をおもてなしする場でもあったんです。そうした役割を担いながら、春翠自身の美意識も反映されたコレクションといえます。
絵画だけでなく、工芸や彫刻など幅広いジャンルの作品があるので、それぞれの分野に興味を持つ方が来館され、展示を楽しんでいらっしゃいます。」
迎田秋悦《秋草蒔絵硯箱》大正時代・20世紀 泉屋博古館東京 (前期展示)
重要文化財 板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》大正6年(1917)泉屋博古館東京特別展の見どころは、日本にいち早く持ち帰られたモネの作品
―― 展示作品のなかで、特に注目してほしいものを教えてください。
「注目していただきたいのは、春翠が集めたクロード・モネの作品です。
春翠は1897年、ヨーロッパを訪れた際に、パリの美術商・林忠正からモネの作品を購入し、日本に持ち帰りました。
当時、日本にあったモネの作品は、第一次世界大戦前で4点ほど。そのうち2点が春翠のコレクションだったんです。モネの作品をいち早く日本に紹介した人物の一人といえます。」
「注目していただきたいのは、春翠が集めたクロード・モネの作品です。
春翠は1897年、ヨーロッパを訪れた際に、パリの美術商・林忠正からモネの作品を購入し、日本に持ち帰りました。
当時、日本にあったモネの作品は、第一次世界大戦前で4点ほど。そのうち2点が春翠のコレクションだったんです。モネの作品をいち早く日本に紹介した人物の一人といえます。」
クロード・モネ《モンソー公園》1876年 泉屋博古館東京 (後期展示)美術品を通して、文化を支えた春翠
――作品収集以外に、春翠の活動で注目したい点はありますか?
「春翠は、美術品を集めるだけでなく、住友家が得た利益を社会に還元することも大切にしていました。
モネの作品も、自邸に飾るだけでなく、求めに応じて洋画家たちに快く見せていたんです。当時は本物のモネの作品を見る機会が限られていたため、画家たちにとって貴重な機会だったんですね。作品を見た画家たちは、その感動を記録に残しています。こうした取り組みが、日本の近代美術の発展にもつながりました。
また、画家への資金援助や作品の購入を通じて、芸術家たちを支えていました。他にも、大阪府立中之島図書館は、1904年に建物も蔵書も住友家から寄贈されています。
東京展でも、作品の美しさだけでなく、春翠の社会貢献や芸術家を支える姿勢に関心を持たれた方が多くいらっしゃいました。」
美術品を集めるだけでなく、文化を支え、社会に還元しようとした春翠。その姿勢も、コレクションを理解するうえで大切なポイントです。「春翠は、美術品を集めるだけでなく、住友家が得た利益を社会に還元することも大切にしていました。
モネの作品も、自邸に飾るだけでなく、求めに応じて洋画家たちに快く見せていたんです。当時は本物のモネの作品を見る機会が限られていたため、画家たちにとって貴重な機会だったんですね。作品を見た画家たちは、その感動を記録に残しています。こうした取り組みが、日本の近代美術の発展にもつながりました。
また、画家への資金援助や作品の購入を通じて、芸術家たちを支えていました。他にも、大阪府立中之島図書館は、1904年に建物も蔵書も住友家から寄贈されています。
東京展でも、作品の美しさだけでなく、春翠の社会貢献や芸術家を支える姿勢に関心を持たれた方が多くいらっしゃいました。」
山田秋坪《柘榴花白鸚鵡図》大正9年(1920)泉屋博古館東京 (後期展示)美術初心者にもおすすめしたい、青銅器の魅力
――美術館にあまり馴染みがない方に向けて、楽しみ方を教えてください。
「企画展はもちろんですが、常設展示の青銅器もぜひ見ていただきたいですね。3000年以上前につくられたものもあるんです。当時の技術で、どうやってこんなに細かな模様をつくったのだろうと、きっと驚かれると思います。
美術に詳しくなくても、難しく考える必要はありません。まずは作品をじっくり見て、形の美しさや迫力を感じてもらえたらうれしいです。」
「企画展はもちろんですが、常設展示の青銅器もぜひ見ていただきたいですね。3000年以上前につくられたものもあるんです。当時の技術で、どうやってこんなに細かな模様をつくったのだろうと、きっと驚かれると思います。
美術に詳しくなくても、難しく考える必要はありません。まずは作品をじっくり見て、形の美しさや迫力を感じてもらえたらうれしいです。」
名品に出会う、泉屋博古館の特別展
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「泉屋博古館に来館して、住友家に伝わる貴重な美術品を見て、ファンになってくださる方もいらっしゃいます。
京都の泉屋博古館はリニューアルを経て、これからもさまざまな企画を予定しています。今回の展覧会をきっかけに、作品そのものはもちろん、その背景にある人や歴史にも興味を持っていただけたらうれしいですね。」
「泉屋博古館に来館して、住友家に伝わる貴重な美術品を見て、ファンになってくださる方もいらっしゃいます。
京都の泉屋博古館はリニューアルを経て、これからもさまざまな企画を予定しています。今回の展覧会をきっかけに、作品そのものはもちろん、その背景にある人や歴史にも興味を持っていただけたらうれしいですね。」
住友春翠の美意識や文化への思いを知ることで、作品の見方も少し変わるかもしれません。特別展を通して、住友家が受け継いできた美の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
尾竹竹坡《九冠鳥》(右隻)明治45年(1912)泉屋博古館東京
尾竹竹坡《九冠鳥》(左隻)明治45年(1912)泉屋博古館東京
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展覧会名 |
特別展 「没後100年記念 住友春翠 -仕合せの住友近代美術コレクション」 |
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会期 |
2026年10月31日(土)〜12月20日(日) |
館名 |
泉屋博古館(京都東山・鹿ヶ谷) |
開館時間 |
10時 ~ 17時(入館は16時30分まで) |
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住所 |
京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24 |
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アクセス |
地下鉄東西線 蹴上駅 徒歩約20分 |
休館日 |
月曜日(11月23日は開館)、11月24日(火) |
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電話番号 |
075-771-6411 |
入場料 |
一般1,200円/学生800円/18歳以下無料 |
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公式サイト |
https://sen-oku.or.jp/program/202610_shunsui100/ |






