観光ボルダリングもSUPも焚き火も。笠置町で叶える、アウトドアな週末

ボルダリングもSUPも焚き火も。笠置町で叶える、アウトドアな週末

京都って、もっと自然が近くにあるんですよ」

そう語るのは、笠置町希望のまち推進課の小林さん。

京都市内から車で1時間半、奈良や大阪からも好アクセスなこの町は、実はアウトドア好きにとっての“隠れ聖地”。木津川を中心に、町全体が自然のフィールド。キャンプ場やボルダリングの岩場、SUP、ハイキング、カヌーなど、一通りのアクティビティが揃っています。

「キャンプ場の利用者は年間9〜10万人ほど。大阪方面からのお客さんが多く、週末ともなればテントで賑わっています」

笠置キャンプ場

桜と笠置キャンプ場

 

とはいえ、町全体の知名度や経済効果となると課題も。現状では、“来て遊んで帰る”一極集中型の観光がほとんど。町内を巡る動線や食事処、お土産処といった観光地らしい「仕掛け」が整っていないのが現実です。

 

SNSは地元からの発信が課題

「正直、町のPRは全然できてないんです」。観光協会も商工会もあるものの、慢性的な人手不足と予算の限界に悩まされているといいます。イベントを企画しても広告費が出せず、SNSでの発信も住民任せ。観光パンフレットや情報発信も追いつかない中で、「そもそも笠置町の存在を知らない人がほとんど」とも。

だからこそ、今注力しているのが、“滞在したくなる仕掛け”の整備です。たとえば、最近ではJR笠置駅を起点としたeバイクツアーが試走などの計画段階だそうで、奈良の柳生十兵衛ゆかりの地や、町内の自然スポットをめぐるアクティビティ型ツアーで、観光資源を点ではなく線で楽しんでもらう試みです。

笠置山 もみじ公園

 

インバウンドへの可能性も見え始めて

海外からの観光客にも笠置の魅力はじわじわと広がり始めています。町内の古民家をリノベーションした民宿では、欧米やアジアからのゲストが長期滞在するケースも。囲炉裏のある日本家屋で、静かな時間を過ごすことに価値を見出す層が確実に存在しています。

「京都市内を見尽くした旅行者が、“本当に静かな場所”を求めて来る」。

これが笠置の可能性であり、個性でもあります。笠置寺では多言語対応のチラシ作成も進み、個々の事業者ができる範囲でインバウンド対応を始めています。

笠置山 雲海

笠置寺 伝虚空蔵摩崖仏

 

周辺エリアとの連携で広がる観光圏

「笠置だけでは、時間を持て余すかもしれない。でも周辺と組めば話は変わります」。

小林さんが紹介してくれたのは、和束町・南山城村とともに行っている「相楽東部三町村」の連携。

和束町は宇治茶の産地、南山城村は道の駅が大人気と、観光素材は豊富。実際、和束町の茶畑での体験、南山城村の道の駅でのグルメ、そして笠置町でのアクティビティをセットにしたモデルコースを打ち出せば、滞在時間も消費も増やせるはず。

 

 

今後のイベントと、笠置のこれから

秋には笠置町もみじ公園で、紅葉のライトアップ「もみじまつり」、冬には特産の鶏肉を使った「KASAGI鍋フェスタ」など、地域に根ざしたイベントもあります。

KASAGI鍋フェスタ

 

また、町内のアウトドアショップによるミニマーケットや、カヌー体験、釣りのシーズンに合わせたアクティビティの拡充も検討中。

「観光というより、まず“町を知ってもらうこと”から」と小林さんは語ります。

たしかに笠置町は、有名な観光地のような“派手さ”はありませんが、静かな自然と、素朴な暮らし、そして手つかずのアウトドアフィールドがあります。京都市内の混雑に疲れたら、次の目的地は、静けさと冒険の町・笠置町で決まりかもしれません。

 


電車

・京都駅から:JR奈良線で木津駅。JR関西本線に乗り換え笠置駅。約1時間30分。

・京都市内から:京奈和自動車道、国道163号線を経由して笠置町。約1時間。