松風 亀屋陸奥の400年以上続く伝統の和菓子
「松風(まつかぜ)」は老舗「亀屋陸奥」の代表銘菓として知られている和菓子です。小麦粉・砂糖・麦芽飴・白味噌を混ぜ合わせて自然発酵させ、カステラのように出来上がった生地を、直径45.5cmの鍋で焼き上げ、表面にケシの実をふりかけて焼き上げた和菓子です。箱のなかいっぱいに、二口サイズほどの短冊状に切り分けた松風が詰まっており、見ただけで食欲がそそられます。箱詰めの他にも、焼き上げた松風をすだれで巻いた「簾巻」も販売されています。白味噌の香ばしい香りと甘じょっぱい風味は、石山合戦以来、400年以上愛され続けています。
目次
400年以上愛される「松風」
「松風」のルーツは、織田信長が活躍していた安土桃山時代に遡ります。当時、大阪で強大な勢力を誇っていた本願寺一向一揆の指導者・顕如が率いる石山本願寺と織田信長が、11年間もの戦いを繰り広げた石山合戦がありました。信長は石山本願寺への補給路を封鎖し、兵糧攻めを決行。石山本願寺が慢性的な食糧難におちいった時、亀屋陸奥の店主が「松風」の原型となる食べ物を焼いたことで、僧侶や一揆に参加した民衆はそのおかげで飢えをしのぐことができたと言われています。
「松風」という名称は、この食べ物を口にした顕如が詠んだ「わすれては 波のおとかと おもうなり 枕に近き 庭の松風」という歌にちなんだと言われています。一向宗と武士の争いも落ち着き、戦乱の世が終わりを迎えた後も松風は西本願寺の御用菓子として重宝されてきました。現在でも、松風は西本願寺に訪れた客人に提供するお菓子として、大切な役割を果たしてきています。
老舗「亀屋陸奥」の魅力
亀屋陸奥は、1421年の創業以来、浄土真宗の蓮如の時代から本願寺の行事や慶事に関わる菓子を作り続けています。現在も、西本願寺の御供物司として、法要の際にお供え物を納めています。亀屋陸奥の魅力は、本願寺とともに歩んできた歴史の長さと言えるでしょう。甘すぎず食べやすい松風の味は一向一揆の時代から、明治維新そして現代に至るまで、西本願寺と信仰深い人々をその味で支えてきました。
「亀屋陸奥」の商品
「西六條寺内松風」は、石山合戦の際に兵糧として作られた伝統的な和菓子です。江戸時代には「六條松風」として本門信徒の間で親しまれており、現代でも当時の味わいを再現した商品が提供されています。丸型の焼き菓子として、浜納豆の風味が引き立つ歴史深い一品です。
もう一つの注目すべき商品「憶昔(いくじゃく)」は、西本願寺境内の国宝「飛雲閣」にある茶室「憶昔」をイメージして作られた和菓子です。奥深い甘味と浜納豆の風味が絶妙に絡み合い、豊かな風味が楽しめます。
「滴翠(てきすい)」は、本願寺黒書院を模した菓子で、装飾を排したシンプルな美しさを追求した茶室を表現した商品です。利休の追究した美への精神を込めた滴翠は、本願寺でのもてなしにも使われており、飛雲閣を囲む庭園「滴翠園」にちなんで名付けられています。贈答品やお茶請けとしても愛される、心静かに味わえる一品です。
松風が喜ばれる場面
松風は甘さを抑えた菓子のため、多くの人にとって食べやすいお菓子です。お土産や慶事でも喜んでもらえるため、贈る相手を選びません。また松風は西本願寺の御用達として仏事のお供え物として活躍してきた歴史があり、仏事を執り行う相手への贈り物としても喜んでもらえるお菓子です。
ただし、松風は腹持ちが良く、少量でも満腹感を感じる点に注意が必要です。8個入りなど一見少量に見えるものでもひと切れでお腹が満たされることがありますので、特に少食な方には配慮した方が良いでしょう。
京都駅でも買える松風
亀屋陸奥本店は七条堀川の興正寺の向かいにあります。京都駅から徒歩10分ほどの距離にあり、時間がある場合は本店での購入をおすすめします。また、JR京都駅伊勢丹の地下にも店舗があるため、急ぎの方はそちらで購入するのも便利です。
店名 |
亀屋陸奥 |
営業時間 |
8:30〜17:00 |
住所 |
京都市下京区西中筋通七条上ル菱屋町153 |
その他取扱店舗 |
本願寺:聞法会館内売店/大谷本廟売店 |
定休日 |
水曜日 |
電話番号 |
075-371-1447 |
公式サイト |
http://kameyamutsu.jp |