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行動指針の全て:基本から作成、浸透方法までわかりやすく解説

行動指針とは、企業が従業員に対して期待する行動標準や行動規範を示した文書のことです。行動指針は、従業員が日々の業務を遂行する際に取るべき行動や判断の基準を提供し、一貫した企業文化の醸成を助ける役割を担います。

 

行動指針と企業理念

行動指針は企業理念と密接に連携しています。企業理念が組織の基本的な信念や目的、存在意義を明確に記すものに対して、行動指針はその理念を具体的な行動へと落とし込んだものです。企業理念が「何を目指しているのか」を説明するものであり、行動指針は「その目標に到達するためにどのように行動すべきか」を示したものです。

 

行動指針と行動理念

行動理念とは、組織の価値観や信条から、従業員が行動や思考を考えることを補助するための「抽象的な概念」です。
一方、行動指針はこれらの価値観を具体的な行動規範に落とし込み、従業員が日々の判断を行う際の「明確な指針」となります。

 

行動指針とクレド

クレドとは、企業の信条や行動規範を明文化したものであり、行動指針と同義で扱われることもあります。クレドは企業の根底にある信条や理念を表す言葉であり、一般的に短く簡潔に、従業員が何を信じ、どのような価値を大切にすべきかを示します。例えば、「顧客第一」や「品質に妥協なし」といった表現が用いられます。
一方で、行動指針はクレドに基づいて作られ、従業員の具体的な行動標準や規範について、より詳細に定めます。

 

行動指針と混同されがちな用語

行動指針と経営理念

経営理念は企業の基本的な価値観や目的を表し、存在理由や目指すべき方向性を示すものです。一方、行動指針は経営理念を実現するために、従業員が日々の業務でどのように行動すべきかを具体的に定めた指針のことです。

 

行動指針と企業理念

企業理念は、企業がどのような価値を追求し、どのような目標を持つかを示すものです。これに対して行動指針は、企業理念に基づいて従業員が実際の業務でどのように行動すべきかを定めるものです。企業理念が企業の「心」とも言える部分であるのに対し、行動指針はその「手足」としての機能を持つと言えます。

 

行動指針と行動規範

行動規範は、従業員が守るべき具体的な規則や行動基準を定めたもので、法的な遵守事項や倫理的な表現が含まれます。これに対して行動指針は、行動規範よりも広範囲にわたり、企業の価値観や理念を具体的な行動に落とし込むためのガイドラインとなります。行動規範が「どのように行動してはいけないか」という表現をすることが多いのに対し、行動指針は「どのように行動すれば良いか」と肯定的に示すことが特徴です。

 

行動指針が企業にもたらすメリット

1.従業員の行動基準の明確化

行動指針により、従業員は日常業務において適切な判断ができるようになり、個々の責任を自覚しやすくなります。これにより、一貫性のある行動が促され、職場内での誤解や不正行為のリスクが減少します。

 

2.組織文化の強化と一体感の促進

行動指針は組織の価値観を反映し、企業文化の強化に貢献しています。行動基準を共有することで、従業員間の一体感が育まれ、協力しやすい職場環境が実現するのです。

 

3.顧客満足度とブランドイメージの向上

一貫した行動基準は、ブランドイメージの向上にもつながります。従業員が行動指針に従って行動することで、顧客からの信頼を得やすくなり、顧客満足度の向上につながります。

 

4.従業員がどのように行動するべきか理解できる

従業員が企業の期待する行動を理解することができます。新しい業務や未知の問題に直面した際に、どのように対応すれば良いかの指針となりえます。

 

5.仕事上での意思決定がしやすくなる

意思決定プロセスをサポートし、従業員が迅速かつ効果的業務を行うことができます。具体的なガイドラインがあることで、従業員が自信を持って意思決定を行うことができ、その結果、業務効率が向上するのです。不確実性を減らし、一貫した行動を促すため、組織全体のパフォーマンスにもよい影響があります。

 

有名企業の行動指針事例

Google

Googleの行動指針『Googleが掲げる10の事実』は、「ユーザーに最優先の価値を提供する」という理念をもとに定められています。全従業員がこの理念に向かって努力し、ユーザーの利便性を高めるために検索アルゴリズムの進化に常に注力しており、高い顧客満足度に直結しています。


『Googleが掲げる10の事実』

  • ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  • 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  • 遅いより速いほうがいい。
  • ウェブ上の民主主義は機能する。
  • 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  • 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  • 世の中にはまだまだ情報があふれている。
  • 情報のニーズはすべての国境を越える。
  • スーツを着なくても真剣に仕事はできる。
  • すばらしい」では足りない。

・参考リンク:Googleが掲げる10の事実

 

Amazon

Amazon社には、14項目のOur Leadership Principles(リーダーシップ・プリンシブル)という行動指針があります。顧客中心の哲学に根ざした行動指針であり、Amazonは顧客満足を最大化することを常に追求しています。
・参考リンク:Amazon Japan「Our Leadership Principles」

 

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、持続可能な社会と地球の発展に貢献することを核としています。創業者の遺訓に基づき、トヨタフィロソフィーとトヨタ基本理念を中心に、企業としての進むべき方向を定めています。従業員は日々の業務を通じて、「幸せを量産する」という使命を実践し、高い倫理規範と行動基準に沿って行動しています。
・参考リンク:トヨタ行動指針

 

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは優れた製品を作り、世界中の人々の生活を豊かにすることを使命とし、顧客の立場に立ち、公正で実りある関係を築くことを大切にしています。また、ビジネスパートナーとの行動指針を設けることで、関係者全員が遵守すべき基本原則を明確にし、正しい行動を促進しています。
・参考リンク:ビジネスパートナー行動指針

 

各企業の行動指針は業界や特性に応じて異なりますが、共通しているのは企業文化の核となり、ビジネス戦略と密接に連携している点です。行動指針は、企業が目指すビジョンとミッションの実現を促す重要な役割を果たしており、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。

 

行動指針の作り方

STEP1:企業としての価値観を描く

企業の目標、社会的責任、従業員に対する期待など、行動指針が実際の行動にどのように反映されるかの基盤を考えます。企業としての基本的な考え方や価値観を明確にすることが大切です。

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STEP2:経営理念や企業理念を定める

経営理念や企業理念は、会社の存在意義と目指すべき方向を示すものです。行動指針の作成において中核となる要素であり、全従業員が共有すべき重要な価値観を形成します。理念を明確にすることで、行動指針が具体的で一貫性のあるものになり、従業員一人ひとりが企業の大局的な目標に沿って行動できるようになります。

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STEP3:重要な価値観と原則を特定する

ステークホルダー(従業員、顧客、株主などの関係者)からの意見を収集することが重要です。さまざまな視点が反映され、より実践的で受け入れられやすい行動指針になります。収集された意見をもとに、重視すべき価値観や原則を特定し、行動指針に落とし込みましょう。

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STEP4:従業員が共感しやすい言葉に落とし込む

日々の業務場面に対する行動基準を定義します。従業員が理解しやすく、共感しやすい言葉で表現することが大切です。具体性があることで、従業員が行動指針を業務に活かし、組織全体の一体感とモチベーションアップにつながります。

 

行動指針を浸透させる方法

日常業務の中に落とし込む

たとえば、製品開発のプロセスにおいて行動標準を明確にすることで、従業員が自然と指針に従う行動を取りやすくなります。行動指針を効果的に浸透させるためには、日常業務に組み込むことが必要です。業務の各プロセス、コミュニケーションの取り方に行動指針を反映させることが重要です。

 

評価項目に含める

従業員の評価システムに行動指針に基づく基準として取り入れることも、行動指針の浸透には効果的です。従業員の評価に行動指針を遵守することを含めることで、従業員自身が重要性を認識し、積極的に行動指針を参照するようになります。これは、従業員が行動指針を意識し、その精神を業務に活かす大きな動機付けとなります。

 

継続的な教育

新入従業員のオリエンテーション、定期的な研修、ワークショップを通じて行動指針の内容と重要性を反復して教育することが効果的です。また、経営陣やリーダーが行動指針に則った行動を積極的に示すことで、従業員に強い手本を提供し、行動指針の価値を組織全体に広めることができます。

こういった工夫をすることで、行動指針はただの文書ではなく、日々の運営と深く結びついた文化となります。行動指針を実践することで、その精神を社内外に示し、企業の信頼性と効率性を高めることができます。行動指針を社内に浸透させるためには、継続的なコミュニケーションと教育が必要なのです。

 

行動指針の更新と評価

定期的な見直しと更新

行動指針は時代や組織の変化に合わせて、定期的に見直すことが求められます。従業員や顧客、その他のステークホルダーからのフィードバックを積極的に取り入れ、行動指針の内容を現状に適合させる必要があります。
年に一度、行動指針に関するアンケートを実施するなどして、必要に応じた指針の修正をします。これにより、行動指針が常に関連性と鮮度を保ち続けることが可能になります。

 

行動指針の実践と評価

行動指針の効果を最大化するためには、行動指針の実践を徹底し、定期的に評価する必要があります。行動指針に沿った行動が実際にどの程度行われているかを評価するために、具体的な評価基準を設けることが効果的です。また、従業員に対する継続的な教育とトレーニングを通じて、行動指針の理解と実践を促進することが望ましいです。

 

まとめ

行動指針とは何か、またその重要性と具体的な策定方法について解説しました。企業が直面するさまざまな課題に対処し、組織の目標に沿った一貫した行動を促すために、行動指針の策定は必要不可欠です。

 

  1. 行動指針は企業理念を具体化する。
  2. 正確な行動基準が従業員のパフォーマンスを向上させる。
  3. 定期的な評価と更新が行動指針の効果を保持する。

 

行動指針の策定と維持は、企業運営の成功に直結します。行動指針を分析し、必要に応じて自社に適用することで、組織全体の調和と効率が向上するでしょう。