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フローチャート完全マニュアル 書き方から活用シーンまで徹底解説

フローチャートとは何か?

フローチャートは、プロセスや手順を図形を用いて表現し、各ステップ間の関係を視覚的に整理するためのツールです。

プロセスを視覚化することにより全体の流れが一目で把握でき、どの部分が重要であるか、どこに問題があるかを素早く識別できるようになり業務の効率化、ミスの削減などにつながります

 

プロセスの文書化

ISO認証などの品質管理基準を遵守する必要がある業界において、業務プロセスを文書化することは必須であり、フローチャートは効果的な役割を果たします。

また、プロセスが正確に記録されることで、新人教育や業務の引継ぎが容易になります。

 

プロセスの分析と理解

プロセスの手順を視覚化することで、必要がないフローやボトルネックとなっている部分が明らかになり、より効率的なプロセスにすることができます。既存のプロセスを評価し、改善点を見つける際にもフローチャートは極めて有用です。

 

代表的なフローチャート記号と種類

フローチャートで使用する記号は、各ステップの流れや意味を明確にするために用いられます。ここでは、フローチャートで使用される主要な記号について解説します。

名称

図形

説明

開始/終了

  • プロセスの開始点と終了点を示す
  • 「開始」や「終了」のラベルが付けられる

データ

  • データの入力や出力を示す
  • プロセスにデータが供給されるか結果が出力される点を表す

判断/分岐

  • 決定や選択のポイントを示す
  • 条件に基づいて異なるフローへ分岐する

処理

  • 具体的な操作や行動を示す
  • プロセス内のアクションを表現する

書類

  • 文書やレポートなど、書類が関与するステップを示す

データベース

  • データの保存や取得を示す。
  • データベースとのインタラクションを表現する

手作業

  • 手動で行われる作業を示す
  • 自動化されていないタスクを表現する

結合子

  • 異なるプロセスフローが合流するポイントを示す
  • フローの統合を表現する


フローチャートの基本的な書き方

次に、フローチャートを作成する際の基本的なステップを解説します。

 

目的を明確にする

  • 目的の特定:目的を明確にし、何を達成したいのか具体的に定義する
  • 使用シナリオの識別:使用される状況を特定し、適切なレベルを決定する

 

フローに関わる関係者を洗いだす

  • 関係者の特定:関与するすべてのステークホルダーをリストアップする
  • 役割と責任の明確化:各ステークホルダーの役割と責任を明確化する

 

要素を時系列に配置する

  • プロセス順序:各ステップを論理的かつ時系列に沿って配置する
  • 流れの方向:左から右、または上から下への流れで描く

 

わかりやすい作図にする

  • 記号の一貫性:類似する操作や決定には一貫して同じ記号を使用する
  • 矢印の使用:各ステップの進行方向を矢印で明確にする
  • 情報の整理:必要な情報だけを記載する

 

フローチャート作成時の注意点

決まった記号・色分けの活用

フローチャートの作図には一貫性をもたせることが必要です。各記号はそれぞれ特定の意味を持っており、処理や決定などの各ステップを明確に示す役割があります。また、領域ごとに色分けをして、情報のカテゴリーを区別することで、フローチャートの視認性を向上させることができます。たとえば、緊急は赤色、注意は黄色、通常時は青色で表すなどの方法があります。

 

フローは左から右 or 上から下へ

フローチャートは、一般的に「左から右」または「上から下」の流れに沿って作成します。逆方向で作成をすると、読み手が誤った認識をしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

 

最新の情報を常にフローチャートに反映

プロセスの変更があった場合には、フローチャートを常に最新の状態に更新する必要があります。プロセスの変更をフローチャートに即座に反映させることで、誤った情報に基づいた作業を防ぎます。また、更新されたフローチャートはすべての関係者に迅速に配布し、チーム全体が最新のプロセスに沿って作業できるようにする仕組みが必要です。

 

フローチャートの参考例

フローチャートは、業種・業界を問わず、さまざまな場面で活用できます。ここでは、フローチャートの参考例を取り上げて解説します。

 

ソフトウェア開発のバグ追跡プロセス(IT業界)

  1. プロセス開始:バグ報告の受け入れを開始する
  2. バグの評価:バグが再現可能かを評価し、優先順位を決定
  3. 問題の割り当て:適切な担当者にバグ修正作業を割り当てる
  4. 修正作業:担当者がバグを修正する
  5. テスト:修正が適切に完了したかを確認する
  6. 再確認:
    •   バグが残っている場合は「問題の割当て」のステップに戻す
    •   バグが修正されたら「プロセス終了」に移る
  7. プロセス終了:問題が解決されたらクローズする

 

製品の品質検査プロセス(製造業)

  1. プロセス開始:製品完成を受けて検査プロセスを開始
  2. 検査準備:検査に必要な材料、ツール、および製品サンプルを準備
  3. 一次検査:機能的テストを実行
  4. DB:初期データを収集
  5. 一次評価:指定された品質基準を満たしているかを判断
  6. 二次検査:さらに細かい機能的テストを実行
  7. DB:二次検査のデータを収集
  8. 二次評価:指定された品質基準を満たしているかを判断
  9. 最終検品:最終製品を手作業で検査し、視覚的な欠陥や問題を確認
  10. 最終評価:全ての品質基準を満たしているかを判断
  11. 修正:品質基準をクリアするよう修正工程に回す
  12. 廃棄:製品を市場に出さず廃棄する
  13. プロセス終了:検査プロセスの終了


まとめ

フローチャートは、プロセスの可視化を助ける重要なツールです。この記事では、フローチャートの基本的な概念から具体的な作成方法、活用事例まで詳しく解説しました。

  1. プロセスの視覚化が重要
  2. 記号の正しい使用が効果を左右する
  3. 情報の更新を怠らない

フローチャートを自社の業務に適用して、プロセスの理解を深め、業務を円滑にさせましょう。また、フローチャートを定期的に見直すことで、より効果的な業務フローを実現できるでしょう。