人材開発助成金のメニュー・補助金額と令和6年改正内容を徹底解説!
目次
この記事では、人材開発助成金のメニュー・補助金額と、令和6年の改正内容について詳しく説明します。
ポイントは次の3点です。
- 人材開発助成金の目的と概要
- 人材開発助成金のメニューと補助率・補助金額
- 令和6年の改正内容
目的
人材開発支援助成金は、国(管轄:厚生労働省)が運営する制度で、事業者が労働者の訓練に必要な費用を助成するものです。
事業主が雇用する労働者が、職務に必要な専門知識や技能を習得するために行う職業訓練を計画どおりに実施した場合、事業者に対して必要な訓練経費や、訓練期間中の賃金の一部を助成することを目的としています。
参照: 厚生労働省「人材開発支援助成金」
概要
人材開発支援助成金では、机上研修(OFF-JT)や実施研修(OJT)によって人材育成を行う事業主に対し、研修時の経費や研修期間中の賃金の一部を助成することで、人材育成を支援します。
この助成金は次の6コースに分類されています。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
助成メニューと内容
人材開発支援金の助成メニューは下表のとおりです。
支給対象となる訓練等 | 助成対象 |
①人材育成支援コース | |
10時間以上のOFF-JT、新卒者等のために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練、有期契約労働者等の正社員転換を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練 |
|
②教育訓練休暇等付与コース | |
有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合に助成 | 事業主 |
③建設労働者認定訓練コース | |
建設労働者の技能を高めることを目的として、中小建設事業主等が認定訓練を実施したり、建設労働者にその訓練を受講させたりする場合に助成 |
|
④建設労働者技能実習コース | |
雇用する建設労働者に有給で技能の向上のための実習を受講させた建設事業主または建設事業主団体に対して助成 |
|
⑤人への投資促進コース(令和4年4月~) | |
・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 高度デジタル人材の育成のための訓練や大学院での訓練 事業主 |
事業主 |
・情報技術分野認定実習併用職業訓練 IT分野未経験者の即戦力化のためのOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練 ・定額制訓練 |
|
・定額制訓練 サブスクリプション型の研修サービスによる訓練 |
|
・自発的職業能力開発訓練 労働者が自発的に受講した訓練(訓練費用を負担する事業主に対する助成) |
|
・長期教育訓練休暇等制度 長期教育訓練休暇制度や教育訓練短時間勤務等制度を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合に助成 |
|
⑥事業展開等リスキリング支援コース(令和4年12月~) | |
事業展開やDX・GXに伴い新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練 | 事業主 |
*対象労働者はいずれも雇用保険被保険者
助成額・助成率
人材開発支援金における助成額と助成率は下表のとおりです。
支給対象となる訓練等 | 賃金助成額 (1人1時間あたり) |
経費助成率 | OJT実施助成額 (1人1コースあたり) |
|||||
条件を満たす場合 | 条件を満たす場合 | 条件を満たす場合 | ||||||
①人材育成支援コース | 人材育成訓練 | OFF-JT | 760円 (380円) |
960円 (480円) |
45%など* | 60%など* | – | – |
認定実習併用職業訓練 | OFF-JT | 760円 (380円) |
960円 (480円) |
45% (30%)* |
60% (45%)* |
– | – | |
OJT | – | – | – | – | 20万円 (11万円) |
25万円 (14万円) |
||
有期実習型訓練 | OFF-JT | 760円 (380円) |
960円 (480円) |
60%* 70%* |
75%* 100%* |
– | – | |
OJT | – | – | – | – | 10万円 (9万円) |
13万円 (12万円) |
||
②教育訓練休暇等付与コース | – | – | 30万円 | 36万円 | – | – | ||
③建設労働者認定訓練コース | 3,800円 (1人1日あたり) |
4,800円 (1人1日あたり) |
1/6以内 | – | – | |||
④建設労働者技能実習コース | 【賃金助成】 (最長20日間) 20人以下の中小建設事業主:1人あたり日額8,550円(9,405円(※)) 21人以上の中小建設事業主) :1人あたり日額7,600円(8,360円(※)) (※)建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合 など |
中小建設事業主団体:4/5 中小建設事業主団体以外の建設事業主団体:2/3 |
– | – | ||||
⑤人への投資促進コース (令和4年4月~) |
高度デジタル 人材訓練 |
OFF-JT | 960円 (480円) |
– | 75% (60%) |
– | – | – |
成長分野等 人材訓練 |
OFF-JT | 960円* | – | 75% | – | – | – | |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | OFF-JT | 760円 (380円) |
960円 (480円) |
60% (45%) |
75% (60%) |
– | – | |
OJT | – | – | – | – | 20万円 (11万円) |
25万円 (14万円) |
||
定額制 訓練 |
OFF-JT | – | – | 60% (45%) |
75% (60%) |
– | – | |
自発的 職業能力開発訓練 |
OFF-JT | – | – | 45% | 60% | – | – | |
長期教育訓練 休暇制度 |
960円* (760円) |
(960円)* | 20万円 | 24万円 | – | – | ||
教育訓練短時間 勤務等制度 |
– | – | 20万円 | 24万円 | – | – | ||
⑥事業展開等リスキリング支援コース(令和4年12月~) | OFF-JT | 960円 (480円 |
– | 75% (60%) |
– | – | – |
*の箇所については上記 参照サイト(2頁)をご参照ください。
令和6年4月1日の主な改正内容
人材開発支援金では、過去に何度か内容が改定されていますが、直近では令和6年4月1日に実施されています。
主な改定内容は次のとおりです。
eラーニング・通信制の実施場所「変更届」が必要に
上記訓練の実施場所を変更する場合は、当初計画していた訓練実施日や変更後の訓練実施日のどちらか早い方の前日までに変更届を提出する必要があります(従来は提出不要)。
OJT関連書式の統合
OFF-JTとOJTを組み合わせて実施する訓練の支給申請時に必要な「OJT実施状況報告書」と「OJT訓練日誌」それぞれの様式が「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)」に統合されました。
対象労働者に関する確認書の廃止
人材育成支援コースの計画届提出時に必要であった「対象労働者(有期契約労働者等)に関する確認書」が廃止され、「職業訓練実施計画届」の記載事項に統合されました。
キャリアコンサルティング実施にあたる書類提出の廃止
人材育成訓練と定期的なキャリアコンサルティングの実施について、事業内での職業能力開発計画で定めた書類の提出が不要となりました。
公共職業能力開発施設での訓練終了にあたっての要件を認定
公共職業能力開発施設など、特定の訓練機関が実施する訓練の場合、当該訓練機関を修了していることが確認できれば、実訓練時間数の8割以上受講の要件を満たすこととされました。
また、支給申請の際に必要な「訓練で使用した教材の目次の写し」の提出も不要となりました。
テレワーク実施の際に就業規則の提出が必要
OFF-JTをテレワークにより自宅などで実施する場合は、企業としてテレワーク制度を導入していることがわかる就業規則等の提出が必要となりました。こちらは従来OJTのみ必要だったものです。
団体等検定の受験料を助成対象に
令和6年3月に創設された「団体等検定」の受検料を助成対象としました。
詳細については上記 参照サイト(4頁)をご参照ください。
まとめ
人材開発助成金のメニューや補助率・補助上限額と、令和6年の改正内容について詳しく解説しました。
自社の従業員育成に活用できる事業者は、是非ご活用ください。
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