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ビジネスに時候の挨拶は必要?例文と時候の挨拶の使い方を解説

ビジネスにおけるコミュニケーションでは、信頼関係の構築や相手への気配りが求められます。
形式的になりやすいビジネスメールや手紙に時候の挨拶を入れることで、相手への気遣いや敬意、丁寧さを示すことができます。
ビジネスマナーの一つとして、時候の挨拶の使い方を知っておくとよいでしょう。

時候の挨拶とは?ビジネスシーンにおける必要性

時候の挨拶は、挨拶状や手紙の冒頭部分に用いられる、季節や天候を織り交ぜた挨拶文です。
季節感だけではなく、相手への気遣いや礼節も示します。

取引先へのメールや顧客への手紙などに時候の挨拶を入れることで、形式的な印象から心のこもった印象を与えることができます。
その結果、相手との関係性が深まったり、円滑なコミュニケーションが可能になったりするのです。

時候の挨拶には、季節ごとにさまざまな表現があります。相手との関係性やシーンなどを考慮し、適切な内容を選んで正しく使用することが重要です。

 

時候の挨拶を書く際に知っておきたい基本ポイント

時候の挨拶にはいくつかのルールがあります。
入れる場所、挨拶の選び方など、基本的なポイントを押さえておきましょう。

 

時候の挨拶は頭語の後に書く

時候の挨拶は、頭語(拝啓や謹啓など)に続けて書きます。
ただし、お詫びやお見舞いの手紙では、時候の挨拶を省略するのが一般的です。
基本的な手紙の構成は、次のとおりです。

 

  1. 頭語:拝啓、謹啓など
  2. 時候の挨拶:季節に応じた挨拶文
  3. 前文:相手の健康を気遣う言葉や安否を尋ねる言葉
  4. 本文:本題や用件
  5. 結びの挨拶(末文):相手を気遣う言葉や結びの挨拶
  6. 結語:敬具、謹言など(頭語とペアで使用)

 

メールの場合も、基本的には手紙と同じ構成で書きます。

 

書き出しと結びを正しく組み合わせる

時候の挨拶の書き出しと結び(末文)をそろえることで、統一感のある文章になります。
例えば、夏の場合は次のように組み合わせます。

 

書き出し:梅雨もようやく明けましたが、いかがお過ごしでしょうか。

結び:暑さ厳しい折、みなさまのご健康をお祈り申し上げます。

 

結びには、体調を気遣ったり、相手の幸せやお互いの関係の発展を願ったりする文章を入れます。
書き出しと結びの季節感を統一するようにしましょう。

 

漢語調と口語調を使い分ける

時候の挨拶には漢語調と口語調があり、相手やシーンによって使い分けます。ビジネスでは、漢語調を用いるのが一般的です。

 

【漢語調】

  • 「~の候」「~の折」「~のみぎり」を用いた短く簡潔な表現

※ビジネスでは「~の候」を使用(例:新春の候/ 初夏の候/師走の候)

  • 漢語調の挨拶の後ろに、一言付け加える

(例:初夏の候 貴社におかれましては、なお一層ご発展のことと存じます

  • ビジネスやフォーマルな文章で使用

 

【口語調】

  • やわらかい表現

(例:春うららやかな季節となりました/朝夕は肌寒く感じるようになりました)

  • 個人間の手紙や親しい間柄で使用

 

漢語調と口語調のどちらも、頭語の後に続けて書きます。

 

1月:時候の挨拶(書き出し・結び)

1月の時候の挨拶には、新年を迎えた喜びや寒さの厳しさ、相手の健康を気遣う言葉を入れるとよいでしょう。

漢語調

・初春の候、新春の候:1月初旬に使用

・小寒の候:二十四節気の小寒の頃(1月5日頃)に使用

・大寒の候:二十四節気の大寒の頃(1月21日頃)に使用

・厳冬の候、寒冷の候、寒風の候:1月中旬~下旬に使用

口語調

・希望にあふれる新しい年をお迎えのことと存じます

・日ごとに寒さが募ってまいりました

・一年でもっとも寒い時季となりました

結び

・寒さ厳しい季節、ご自愛ください

・幸多き一年となりますよう、お祈り申し上げます

 

2月:時候の挨拶(書き出し・結び)

2月の時候の挨拶には、厳しい寒さが続いていることや、春の気配が感じられることなどを入れます。

漢語調

・晩冬の候:2月上旬に使用

・立春の候:二十四節気の立春の頃(2月4日頃)に使用

・春寒の候、残寒の候:立春後の寒さが続く頃に使用

・梅香の候:2月中旬~3月上旬頃に使用

口語調

・冬も終盤となりました

・立春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております

・ようやく春の気配が感じられるようになりました

結び

・寒い日が続きますが、くれぐれもご自愛ください

・春の訪れが待たれる季節、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます

 

3月:時候の挨拶(書き出し・結び)

3月の時候の挨拶には、季節の変わり目を意識した言葉を入れます。

漢語調

・早春の候、解氷の候:3月上旬に使用

・仲春の候:3月中旬に使用

・春分の候:二十四節気の春分頃(3月21日頃)に使用

・春色の候:3月下旬に使用

口語調

・早春の時季を迎えました

・寒さの中に春の気配を感じるころとなりました

・桃の節句も過ぎ、すっかり春めいてまいりました

結び

・新生活が始まる季節、どうぞご自愛ください

・今後とも変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます

 

4月:時候の挨拶(書き出し・結び)

4月の時候の挨拶には、春本番を迎える喜びや新生活への期待、相手の健康や幸福を願う言葉を選びます。

漢語調

・陽春の候:4月全般に使用

・桜花の候、春風の候:4月上旬に使用

・穀雨の候:二十四節気の穀雨の頃(4月20日頃)に使用

・麗春の候:4月下旬に使用

口語調

・桜の花も咲きそろい、心躍る頃となりました

・各地から花便りの聞こえてくる季節となりました

・春風が心地よい季節となりました

結び

・季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください

・新年度を迎えお忙しい日々が続くかと存じますが、どうぞご自愛ください

 

5月:時候の挨拶(書き出し・結び)

5月の時候の挨拶には、新緑や初夏を思わせる言葉を選びます。

漢語調

・新緑の候、青葉の候:5月全般に使用

・残春の候:5月上旬に使用

・立夏の候:に使用立夏の頃(5月5日頃】に使用

・初夏の候:5月中旬に使用

口語調

・夏の兆しが見える頃となりました

・若葉が目にまぶしい季節となりました

・さわやかな五月晴れの毎日が続いておりますが

結び

・気温の変動が大きい季節ですので、くれぐれもご自愛ください

・新緑の季節、ますますのご健勝をお祈り申し上げます

 

6月:時候の挨拶(書き出し・結び)

6月の時候の挨拶には、梅雨や夏の兆しを表現、相手の健康を気遣う言葉などを入れます。

漢語調

・向夏の候:6月全般に使用

・初夏の候:6月上旬に使用

・入梅の候、梅雨の候:6月中旬に使用

・小夏の候:6月下旬に使用

口語調

・梅雨入りの時期を迎えました

・紫陽花の花が美しい季節となりました

・梅雨の季節、お元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます

結び

・梅雨明けが待ち遠しい今日この頃。くれぐれもご自愛ください

・雨が多い季節ですが、どうかお健やかにお過ごしください

 

7月:時候の挨拶(書き出し・結び)

7月の時候の挨拶には、梅雨明けや夏の暑さ、相手の体調を気遣う言葉などを入れます。

漢語調

・盛夏の候:7月全般に使用

・長雨の候:7月上旬(梅雨明け前)に使用

・梅雨明けの候:7月中旬に使用

・大暑の候:二十四節気の大暑の頃(7月23日頃】に使用

・酷暑の候:7月下旬に使用

口語調

・暑さが日増しに厳しくなってまいりました

・夏の盛りとなりました

・海開きの便りに夏の訪れを感じる今日この頃です

結び

・暑さが厳しい季節ですが、どうかお健やかにお過ごしください

・厳しい暑さが続きます。くれぐれもご自愛ください

 

8月:時候の挨拶(書き出し・結び)

8月の時候の挨拶には、猛暑や残暑、相手の健康を気遣う言葉を選びます。

漢語調

・晩夏の候、納涼の候、暮夏の候:8月全般に使用

・立秋の候:二十四節気の立秋の頃(8月7日頃)に使用

・残暑の候:8月中旬に使用

口語調

・猛暑の毎日が続いております

・立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いております

・朝晩は少しばかりしのぎやすくなってまいりました

結び

・夏の終わりも近づいていますが、まだまだ暑い日が続きます。ご自愛ください

・猛暑の毎日、お身体を大切にお過ごしください

 

9月:時候の挨拶(書き出し・結び)

9月の時候の挨拶には、秋の気配や秋晴れの気持ち良さをあらわす言葉を入れます。

漢語調

・初秋の候:9月上旬に使用

・秋分の候:二十四節気の秋分の頃(9月8日頃)に使用

・秋晴の候:9月中旬~10月中旬ごろに使用

・仲秋の候:9月中旬に使用

・秋雨の候:9月下旬に使用

口語調

・9月に入っても厳しい暑さが続いております

・風の中に秋の気配を感じる季節となりました

・朝夕はめっきりしのぎやすくなりました

結び

・季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください

・涼風が心地よい季節となりましたが、どうかお健やかにお過ごしください

 

10月:時候の挨拶(書き出し・結び)

10月の時候の挨拶には、秋の深まりをあらわす表現を入れます。

漢語調

・清秋の候:10月全般に使用

・仲秋の候:10月上旬に使用

・夜長の候:10月中旬に使用

・紅葉の候、秋麗の候:10月下旬に使用

口語調

・日増しに秋が深まり、朝夕は肌寒くなってまいりました

・空が澄み、清々しい時期となりました

・秋風が気持ちの良い季節になりました

結び

・秋が深まりゆく季節、お体にお気をつけてお過ごしください

・朝晩冷え込んでまいりました。くれぐれもご自愛ください

 

11月:時候の挨拶(書き出し・結び)

11月の時候の挨拶には、晩秋の美しさや冬の訪れ、季節の変わり目に相手を気遣う言葉を入れます。

漢語調

・落ち葉の候、向寒の候:11月全般に使用

・晩秋の候:11月上旬に使用

・立冬の候:二十四節気の立冬の頃(11月17日頃)に使用

・氷雨の候:11月下旬に使用

口語調

・朝夕の冷え込みが厳しくなってまいりました

・陽だまりの恋しい季節となりました

・落ち葉が舞い、暮れゆく秋を感じる頃となりました

結び

・寒さが増す季節、ご自愛のほどお祈り申し上げます

・朝夕の冷え込みが厳しくなりました。どうぞお体を大切にお過ごしください

 

12月:時候の挨拶(書き出し・結び)

12月の時候の挨拶には、年末の忙しさや寒さを気遣う言葉を選びます。

漢語調

・師走の候、寒冷の候、霜寒の候:12月全般に使用

・大雪の候:二十四節気の大雪の頃(12月7日頃)に使用

・冬至の候:二十四節気の冬至の頃(12月22日頃)に使用

・年末厳寒の候、歳末ご多端の候:12月下旬に使用

口語調

・木枯らしが身にしみる頃となりました

・師走に入り、一年の締めくくりの時節となりました

・早くも師走に入り、なにかとお忙しいことと存じます

結び

・年末ご多忙の折、くれぐれもご自愛ください

・年の瀬も押し迫ってまいりましたが、どうかお健やかにお過ごしください

 

時候の挨拶をビジネスシーンで活用しよう

時候の挨拶は、季節や状況に応じて相手に対する気遣いや敬意をを示すことができる挨拶文です。時候の挨拶を使いこなすことは、ビジネススキルの一つと言えるでしょう。

メールや手紙などに時候の挨拶を取り入れる際には、季節や相手との関係性、本文の内容を考慮した上で適切な表現を選ぶことが重要です。時候の挨拶を入れる場所や結びの言葉にも注意し、正しく使いこなしましょう。