ホームページ制作・WEB制作会社 システム開発・WEBマーケティング・ブランディングも得意

> マーケティング > プライベートブランドの基本と実践ガイド

プライベートブランドの基本と実践ガイド

プライベートブランド(PB)とは?

プライベートブランド(Private Brand)とは、小売業者や流通業者が自社のブランド名で販売する商品のことです。製造は、他社に委託するケースと、自社で行うケースがあります。

商品の企画、開発から販売までを直接行うことで、同業他社と異なる商品を市場に提供して、独自の価値を高めることを目的としています。

 

ナショナルブランド(NB)との違い

ナショナルブランド(National Brand)は、製造業者(メーカー)が商品に対して付けたブランドであり、一般の消費者にとってなじみ深く、全国的に認知されている商品や商標のことです。日清食品の『カップヌードル』や、味の素の『ほんだし』などがあります。
一方、プライベートブランドは特定の小売業者や流通業者のみで販売されており、認知度はナショナルブランドほど高くない傾向にあります。

 

ストアブランド(SB)との違い

ストアブランド(Store Brand)とは、特定の店舗やチェーンでのみ販売されるプライベートブランドのことです。プライベートブランドと同じ意味で扱われることが多いですが、プライベートブランドは「小売業者が展開する独自ブランド」であり、ストアブランドは「特定の店舗でのみ販売されるプライベートブランド」を指します。
セブン&アイ・ホールディングスが展開している『セブンプレミアム』というプライベートブランドがありますが、その中でも、コンビニ店舗のセブンイレブンのみで販売している商品はストアブランドになります。

 

OEMとの違い

OEM(Original Equipment Manufacturer)とは、製造業者が他社からの依頼を受けて製品を生産することです。プライベートブランドとの違いとして、委託側と受託側の双方が主に製造業者であるという点が挙げられます。具体例として、トヨタのブランド名で販売されている「ピクシスメガ」の製造はダイハツ工業が行っています。

プライベートブランド OEM
委託側 小売業者、流通業者など 製造業者(メーカー)
受託側 製造業者(メーカー) 製造業者(メーカー)

 

プライベートブランドの仕組みとは

プライベートブランドは、主に以下のプロセスで構成されます。

  1. 市場調査
  2. 商品企画
  3. 製造業者の選定
  4. デザイン
  5. 生産・品質管理
  6. マーケティング
  7. 販売


プライベートブランド戦略は、小売業者が自らのブランド価値を高め、市場における独自性を確立するための有効な手段です。

 

プライベートブランドのメリット

プライベートブランドを取り入れるメリットは多岐にわたります。

 

開発コストを抑えられる

商品開発は外部の製造業者と協力することが多いため、自社で製造設備を保有する必要がなく、開発にかかる初期投資を大幅に抑えられます。

 

利益率が高い

中間マージンが少なく、価格設定の自由度が高いため、高い利益率の実現が可能です。

 

オリジナル性の高い商品開発ができる

市場ニーズや顧客層に合わせた商品開発が可能なため、他社との差別化が図れるだけでなく、独自性の高い商品の提供ができます。

 

低コストで利益率が高い

製造から流通までのコストを抑えることができるため、結果として消費者にも低価格で商品提供が可能です。

 

ブランディングによる顧客の囲い込み

プライベートブランドを展開することにより、自社のブランドイメージを強化し、顧客のロイヤリティを高められます。

 

プライベートブランドのデメリット

プライベートブランド戦略には、いくつかのデメリットも伴います。

 

在庫リスクがある

プライベートブランド戦略では、市場の需要を正確に予測し、適切な在庫管理を行う必要があります。需要予測を間違えると、過剰在庫や在庫不足を招き、経済的損失を被るリスクが高まります。

 

品質を自社で担保する必要がある

商品の品質は、ブランドイメージや顧客の信頼に直結します。そのため、品質管理は非常に重要です。品質問題が発生した場合、ブランドの信頼性を損ない、自社のイメージダウンを引き起こす可能性があります。

 

ナショナルブランドとの競合

ナショナルブランドは長年のブランド戦略により、高い認知度と信頼性を有しています。そのため、プライベートブランド商品が市場で受け入れられるためには、顧客に対して同等以上の価値を提供する必要があります。

 

プライベートブランドの成功事例

日本国内において、プライベートブランド戦略が成功した代表的な事例を取り上げます。

 

セブン&アイ・ホールディングス『セブンプレミアム』

『セブンプレミアム』は、2007年の発売以来、日本国内で広く受け入れられているプライベートブランドの一つです。食品から日用品まで、幅広い商品を取り揃えており、品質の高さとリーズナブルな価格で消費者から高い支持を受けています。コンビニのセブンイレブンをはじめ、セブン&アイ・ホールディングスが展開する様々な小売チェーンで販売されています。

 

イオングループ『トップバリュ』

『トップバリュ』は、イオングループが2000年に立ち上げたプライベートブランドで、食品、衣料、生活用品など、多岐にわたる商品を提供しています。環境に優しい商品開発を心がけているため、消費者にとって安心・安全な商品でしょう。『トップバリュ』は、イオンのスーパーマーケットを中心に、グループ内の様々な店舗で取り扱われています。

 

マツモトキヨシ『matsukiyo』

マツモトキヨシが展開する『matsukiyo』ブランドは、健康・美容関連商品を中心にラインナップしています。高品質ながらも手頃な価格で提供されており、特に化粧水やサプリメントなどは消費者から高い評価を得ています。

 

プライベートブランドの立ち上げ方法

プライベートブランドの立ち上げを成功させるためには、戦略的な計画と実行が求められます。

 

ブランドコンセプトの確立

プライベートブランドの立ち上げにおいて、まずはブランドコンセプトを明確にすることが重要です。ブランドが提供する価値、市場の位置づけ、ターゲット顧客、ブランドの個性や価値観を定義します。

 

販売する商品を決める

ブランドコンセプトに基づいて、販売する商品の範囲を決定します。市場調査を行い、消費者ニーズや競合他社の動向を分析することで、商品ラインナップを選定。商品は、ブランドが提供する独自の価値を反映するものでなければなりません。

 

販売方法を決める

商品を市場にどのように提供するか、販売チャネルを選択します。実店舗の他に、オンラインショップやSNSを活用した販売も検討する必要があります。

 

製造メーカーを選ぶ

品質とコストのバランスを考慮し、最適な製造メーカーを選定します。製造パートナー選びは、プライベートブランドの成功に直結するため、信頼できるパートナーとの関係構築が重要です。パートナー選定時には、品質管理、生産能力、コスト効率など、複数の要因を評価します。

 

集客と販売する

効果的なマーケティング戦略と販売プロモーションを計画し、ターゲット顧客にアプローチします。SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティング、リアルイベントの開催など、複数の手法を組み合わせることが効果的です。顧客のニーズに応える商品を提供し、優れたカスタマーサービスを実施することで、ブランドの認知度と販売を促進します。

 

プライベートブランド開発のポイント

プライベートブランドの成功には、戦略的な開発と体制が欠かせません。

 

商品管理の体制を整える

商品管理の体制を整えるためには、以下のポイントが重要になります。

  • 品質管理:品質は消費者との信頼に直結します。製造から販売までの全プロセスにおいて品質基準を設け、徹底する必要があります。
  • 在庫管理:過剰在庫や品切れを避けるため、需要予測の精度を上げ、効率的な補充システムを導入することが重要です。
  • コスト管理:製造コストを適切に管理し、価格競争力を保ち続ける必要があります。

 

常に消費者のニーズを考える

消費者のニーズは常に変化するため、市場調査を定期的に実施し、トレンドの変化に敏感であることが求められます。また、顧客の意見を積極的に取り入れ、商品開発に反映させることも重要です。

 

ブランディング

プライベートブランドのブランディングにおいては、以下の点が重要となります。

  • 独自性:独自性は競合との差別化を図る重要な要素です。価値提案を明確にし、消費者に伝える工夫が必要です。
  • 一貫性:パッケージデザイン、広告、SNSなど、全てのチャネルにおいて一貫性を保つことでブランドの認知度が高まります。
  • 顧客体験の向上:商品の質や価格だけでは差別化が難しい場合があるため、顧客体験を重視した戦略も検討する必要があります。

 

プライベートブランドの品質管理について

ここでは、プライベートブランドの品質管理の重要性と具体的な方法について解説します。

 

品質管理の重要性

プライベートブランドの品質管理は、消費者に対して一貫した価値を提供するために不可欠です。高品質の商品を提供することで、消費者の満足度を高め、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得を促進します。また、品質問題が発生した場合のリスクを最小限に抑え、ブランドイメージの損失を防ぐことに繋がります。
品質管理を怠ると、リコールや消費者からのクレームという損失のみならず、ブランドの信頼性や顧客ロイヤリティの低下を招いてしまいます。

 

品質管理の方法

品質管理を実行するには、以下の方法が効果的です。

  • 品質基準の設定:商品ごとに明確な品質基準を設定します。(原材料規格、製造プロセス、検査基準など)
  • 製造パートナーとの協力:品質管理プロセスの透明性を確保し、問題が発生した場合には迅速に対応します。
  • 定期的な監査と検査:製造工程および最終商品に対して定期的な監査と検査を行い、品質基準が満たされていることを確認します。外部の第三者機関を利用することで、客観性を保つ方法もあります。
  • フィードバックの活用:顧客の意見は、品質改善のための貴重な情報源です。顧客の意見を積極的に収集してフィードバックを分析し、改善策を講じることが大切です。

 

プライベートブランドにおける品質管理の重要性は計り知れません。一貫して高い品質管理を行うことで、消費者の信頼を得て、ブランドの長期的な成功を支える基盤をつくることができます。

 

プライベートブランドを成功させるポイント

適切な価格設定と販売戦略

価格設定は、市場ニーズと競合他社の価格戦略を考慮して行う必要があります。価格が高すぎると消費者に敬遠され、低すぎると利益率が落ちるため、バランスが重要です。

また、販売戦略においては、ターゲットとする顧客層に合わせた販売チャネルの選定が重要となります。オンライン販売、店舗販売、ポップアップストアの開設など、複数のチャネルを組み合わせることで、より広い顧客層にリーチすることができます。

 

自社にあったメーカーの選定

高品質なプライベートブランド商品を提供するためには、信頼できるメーカーとの協力が不可欠です。製造パートナー選定の際には、品質管理体制、生産能力、コストパフォーマンスなどを考慮しましょう。

また、サステナビリティやCSR(企業の社会的責任)にも注目し、ブランドイメージに合致するメーカーを選ぶことが望ましいです。

 

ブランド戦略を行う

ブランド戦略には、独自性の確立、一貫したメッセージング、ターゲット市場に合わせたマーケティング活動が含まれます。ブランドロイヤリティを高めるためには、SNSを活用したマーケティングやコンテンツマーケティングなどを通じて、ブランドの知名度を高め、顧客とのエンゲージメントを深めることが重要です。


まとめ

プライベートブランドは、自社のブランド名を冠した商品を市場に提供するビジネスモデルです。

 

  1. プライベートブランドは独自性が鍵
  2. 開発コスト抑制で利益向上
  3. 品質管理は信頼獲得に直結
  4. 消費者ニーズへの対応が重要
  5. 適切なパートナー選定が成功の要

 

プライベートブランド商品を考案する際には、これらの要点を心に留め、市場のニーズに合った独自の商品を開発することが成功の鍵になります。