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要件定義とは 基本とステップバイステップガイド

要件定義とは?

要件定義とは、システムや製品開発において必要とされる要求を明確にする作業のことです。要件定義を行うことにより、開発すべき製品やシステムが、何を達成すべきか、どのような機能や性能を持つべきかなどが具体的に定義されます。

 

システム開発の上流工程の1つ

要件定義は、システム開発の上流工程に位置づけられます。開発プロセスの初期段階で行われるため、プロジェクト全体の基盤を築く役割を持ちます。要件定義の作業には、プロジェクトの目標設定、利害関係者のニーズの把握、それらを満たすためのシステム要件の特定などが含まれます。

 

要求定義との違い

要求定義とは、利害関係者の要求を収集し、整理・分析するプロセスです。一方、要件定義は収集された要求を基にして、システムに必要な機能や条件を定義します。つまり、要求定義が「何を望んでいるか」を明確にするのに対し、要件定義は「それをどう実現するか」を具体化する作業と言えます。

 

基本設計との違い

基本設計とは、要件定義を元にして、システムの構造や動作原理などの設計を行う工程です。基本設計には、システムのアーキテクチャ設計、データ構造、インターフェースの定義などが含まれます。要件定義が「何を作るか」を定めるのに対し、基本設計は「それをどう作るか」を決定する段階のことを指します。

 

要件定義の重要性

要件定義は、プロジェクトの成否を左右する重要な工程です。要件定義が適切に行われることで、リソースの効率的な配分、タイムラインの最適化、リスクの最小化が可能となり、プロジェクトの成功に直結します。

 

プロジェクト成功の鍵を握るプロセス

プロジェクトを成功に導くためには、初期段階での正確な要件定義が不可欠です。要件定義で明確化された内容が、プロジェクト全体の指針となり、後続の開発工程や作業プロセスの基準となります。

 

要件定義の失敗が及ぼすリスク

要件定義が不十分であると、多くの問題が発生する原因となります。不明瞭な要件は、開発過程での誤解や混乱を招き、結果としてプロジェクトの遅延や予算超過、さらには製品の品質低下につながる可能性があります。

 

要件定義における構成要素

機能要件と非機能要件

  • 機能要件:システムが実行すべき具体的な機能や動作を定義する
  • 非機能要件:性能や品質に関する要件であり、運用の容易さ、パフォーマンス、セキュリティなどを規定する

 

技術要件

システムの開発と運用に必要な技術的条件であり、主に以下の要素が含まれます。

  • 使用するプログラミング言語やフレームワーク
  • 採用するデータベースの種類
  • 必要とされるハードウェアの性能
  • 第三者サービスとのインテグレーション要件

 

セキュリティ要件

システムとデータを保護するための重要な要素であり、主に以下の対策が含まれます。

  • データの暗号化方法
  • アクセス制御システムの設計
  • セキュリティ監査の手順
  • 緊急時の対応計画

 

予算、人員、スケジュールの管理

プロジェクトの管理には、予算、人員、スケジュールの詳細な計画が必要です。

  • 予算:開発、運用、保守にかかるコストの詳細な見積りと配分
  • 人員:プロジェクトの各段階に必要な技術者やサポートスタッフの配置
  • スケジュール:マイルストーンを定め、レビューと評価を行うスケジュールを計画

 

要件定義書の作成手順

STEP1:利害関係者の洗い出し

プロジェクトの成功は、利害関係者のニーズと期待を理解し、適切に取り込むことから始まります。スポンサー、ユーザー、プロジェクトチーム、外部パートナーなどの各利害関係者の要求を明確にし、プロジェクトにどのように関与するかを定義します。

 

STEP2:ビジネス目標とプロジェクト目的を確認する

ビジネス目標とプロジェクトの目的を明確に定義することで、全てのプロジェクト活動の方向性が定まります。目標設定は、プロジェクトとビジネス戦略が一致していることを保証するものであり、ROI(投資収益率)の最大化を目指します。

 

STEP3:ユーザーからの要求をヒアリングする

ユーザーから直接要求を収集することは、適切な要件定義に不可欠です。インタビュー、アンケートなどを用いて、具体的なニーズと期待を把握します。これにより、顧客満足度の高い製品やサービスを提供できます。

 

STEP4:要求内容を細分化して整理する

収集した要求を詳細に分析して整理します。要求の優先順位付け、関連性の分析、実現可能性の評価などが含まれ、必要な機能とそれに伴うリソース配分を決定します。

 

STEP5:初期要件と非機能要件を抽出する

プロジェクトの機能要件と非機能要件を明確に区分し、それぞれに対する具体的な定義を行います。機能要件では、システムが実行すべき具体的なタスクを、非機能要件では、システムの性能やセキュリティなどの品質的な側面を定義します。

 

STEP6:技術要件、予算、人員、スケジュールを考慮する

技術的な条件、予算計画、人員配置、スケジュール管理といった要素を総合的に考慮し、プロジェクト計画を立てることが、効率的なプロジェクト進行とコスト管理につながります。

 

STEP7:価値や効果を評価して要件を絞り込む

提案された要件に対する投資対効果を評価し、最も価値の高い要件を選定します。これにより、プロジェクトのコスト効率を高め、最終的なプロジェクトの成功を左右します。

 

STEP8:要件定義書を作成して利害関係者に承認をもらう

すべての要件を文書化し、公式の要件定義書を作成します。要件定義書が全利害関係者の承認を得ることが重要であり、これによりプロジェクトの透明性を保ち、すべての関係者が合意した内容であることを確認します。

 

要件定義の注意点と対処法

現行のシステムや業務フローを正確に理解する

新システムの導入または既存システムの改善においては、現在のシステムや業務フローを詳細に理解することが不可欠です。これを怠ると、必要な要件が見落とされたり、不必要な要件が含まれたりすることがあります。

【対処法】

現行システムを使用するユーザーから意見を収集し、業務フローの観察や分析を行う。

 

あいまいな定義の回避と明確化

要件定義においてあいまいな表現を使用すると、開発者や利害関係者間での誤解が生じ、プロジェクトの遅延やコスト増につながりかねません。

【対処法】

具体的な数字や条件を用いて要件を明確に記述する。

(例)「高速であるべき」ではなく「ロード時間は2秒以下であること」と具体化する。

 

要件定義書の読み合わせと確認

要件定義書が一部の利害関係者に理解されていない場合、それぞれが異なる期待を持ち続けることになり、プロジェクトの目標達成を困難にします。

【対処法】

要件定義書の内容を共有し、承認を得るためのレビュー会議を定期的に開催する。プロジェクト進行に応じて更新を行うことが不可欠。

 

まとめ

要件定義はプロジェクト全体の基盤であり、成功に不可欠な要素です。正しい要件定義がなされることで、開発プロセスの各段階での作業が明確になり、無駄や誤解を大幅に削減できます。

 

【良い要件定義書の特徴】

  • 明確性:具体的で理解しやすい表現であること
  • 完全性:必要な要件が網羅されていること
  • 検証可能性:各要件がテスト可能で測定できること
  • 一貫性:矛盾する要件がなく整合性が取れていること

 

プロジェクトを成功に導くための鍵は、正しい要件定義にあります。