「いらっしゃいますか」はビジネスで使える?適切な使い方と返し方
会話でよく使われる「いらっしゃいますか」は、目上の方や取引先、顧客に対して使える正しい敬語です。汎用性が高くさまざまな場面で使用できる一方、誤用しやすいため注意が必要です。
言葉の意味と使い方、誤用の例、さらに返答の仕方を解説します。
「いらっしゃいますか」の意味
3つの動詞の尊敬語
「いらっしゃる」は、次の動詞の尊敬語です。ビジネスでは、主に「居る」の意味で使われます。
ヨシダ様はいますか?→ヨシダ様はいらっしゃいますか? ヨシダ様は展示会に行きましたか?→ヨシダ様は展示会にいらっしゃいましたか? ヨシダ様は何時に来ますか?→ヨシダ様は何時にいらっしゃいますか?
補助動詞の尊敬語
「いらっしゃる」は、「いる」「ある」の尊敬語です。主に「いらっしゃいます/いらっしゃいました」の形で使用します。
「いらっしゃいますか」はそのまま使える正しい敬語
「いらっしゃいますか」は、相手を敬う時に使う尊敬語です。ビジネスシーンでは取引先や顧客に対して使用し、上司や社内の人には使いません。また、自分をへりくだる謙譲語としての使用もしないのが通常です。
例えば、「私は昨日、展示会にいらっしゃいました(行きました)」「私はどこにいらっしゃればよいですか?(いればよいですか)」など、『私』を主語にした際に「いらっしゃいましたか」を使うのは誤りです。
「いらっしゃいますでしょうか」は避けたい表現
よく使用される「いらっしゃいますでしょうか」は、2つの丁寧語が入った二重敬語です。
「いらっしゃいますか」をより丁寧にするために二重敬語を使う方がいますが、二重敬語を使うと相手に違和感を与えたり、まわりくどく感じさせたりします。コミュニケーションの妨げになるため、二重敬語の使用は避けましょう。
「おられますか」を避けたい理由
「おられますか」は「いますか」の謙譲語です。ビジネスシーンでは「〇〇様はおられますか?」など、相手がいるかどうかを確認する際に使用します。
主に関西地方で使われており、他の地域では「間違った敬語」「方言」だと認識している方も少なくありません。違和感を覚える人と覚えない人に分かれるため、「いらっしゃいますか」を使ったほうがよいでしょう。
ビジネスで使える「いらっしゃいますか」の例文
取引先や顧客に連絡する際、「居る」の意味で「いらっしゃいますか」を使用します。ここでは、「居る」の意味で使えるビジネスでの例文を紹介します。
電話で担当者に取次をお願いしたとき
「いらっしゃいますか」は、相手を呼び出す際に使用します。名乗って挨拶をした後、相手への取次を依頼します。担当部署ではなく代表番号や総合窓口に電話する場合、相手の名前とともに部署名も伝えましょう。
〇〇株式会社の△△と申します。お世話になっております。
生産部のヨシダ様はいらっしゃいますか?
訪問先で担当者の所在を確認するとき
会社を訪問した際、まずは受付担当者や社内の方に声を掛け、担当者を呼んでもらうよう依頼します。自分の社名と名前に加え、アポイントを取っている場合は、約束している時間や訪問の理由も伝えます。
本日、11時に営業部のヨシダ様と打ち合わせのお約束をしております、〇〇株式会社の△△と申します。
お世話になっております。
恐れ入りますが、ヨシダ様はいらっしゃいますか?
打ち合わせや訪問などの日時を調整するとき
打ち合わせや訪問などの日時を決める際に「いらっしゃいますか」を使います。電話や対面のほか、メールで日時調整する際にも使用可能です。
新サービス開始に先立ちまして、一度御社にお伺いしてもよろしいでしょうか。 〇月〇日 火曜日の午後3時頃、社内にいらっしゃいますか?
「いらっしゃいますか」の言い換え表現
同じ言葉を多用すると、相手が違和感を覚えたり、会話がスムーズに進まなかったりすることがあります。「いらっしゃいますか」も会話内で繰り返し使いやすいため、言い換え表現も覚えておきましょう。
ヨシダ様はいらっしゃいますか?→おいでになりますか?
なお、「おいでになりますでしょうか」は二重敬語です。誤用と捉えない方もいますが、使用しないほうが良いでしょう。
「いらっしゃいますか」に対する返事
電話や対面で「いらっしゃいますか」と言われた際、「おります/おりません」で答えます。ただし、「おりません」だけで返事を終わらせるのはNGです。不在の理由を伝え、対応の選択肢を提示しましょう。
日時調整に対しては、次のように返事します。
「いらっしゃいますか」を使って円滑なコミュニケーションを
「いらっしゃいますか」は、電話や対面、メールなどで頻繁に使える便利なフレーズである一方、誤用や二重敬語も頻発しやすいため注意が必要です。
意味や使い方、返答や言い換え表現を知っておくことで、スムーズにコミュニケーションがとれるようになるでしょう。
敬語に慣れていない方は、例文を参考にしながら会話をシミュレーションすることをお勧めします。
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