中小企業 補助金を活用したデジタルマーケティング導入事例
デジタルマーケティングを推進することにより、中小企業にとっては事業の効率化・高度化の進展が大きく期待されます。この記事では、中小企業が活用可能なデジタルマーケティングに関する補助金・助成金と、それぞれの支援施策を有効に活用した導入・成功事例について詳しく解説します。
目次
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、さまざまなIT・デジタル技術を活用して実施するマーケティング手法を指し、マーケティングにおける1つのカテゴリとして位置づけられています。主な手法としては、デジタル広告やAI、またビッグデータの活用などを中心とするマーケティング活動が挙げられます。
デジタルマーケティングにおける主要なツールであるWebサイトやソーシャルメディア、メール、検索エンジンなどを利用して、ターゲット顧客との接点を構築し、さまざまな情報提供を通じて関心や興味喚起を提起することで、自社の商品やサービスの購入につなげるのが主な目的となります。
具体的には、広く浸透しているFacebookやInstagram、TwitterやLINEといったソーシャルメディアを活用し、広く消費者に向けた広告・キャンペーンを展開したり、電子メールを使用してターゲット顧客やプロスペクト(見込み)客にプロモーションや各種情報を提供する行為もデジタルマーケティングの一例となります。
デジタルマーケティングによって収集したデータを分析し、ターゲット顧客の行動やニーズを把握することで、マーケティング戦略を最適化させる効果も期待されます。デジタルマーケティングを実践しようとする中小企業は、さまざまな選択肢の中から自社にとって最適と思われる手法を選択し、実行することがポイントとなります。
主なデジタルマーケティングの手法
主なデジタルマーケティングの手法について見ていきます。
Webマーケティング
Web上のコンテンツを活用して実施するマーケティングで、具体的には次のような手法があります。
- Webサイト
- Web広告
- SEO(Search Engine Optimization)
- コンテンツマーケティング
- SNSマーケティング
- 動画マーケティング
- メールマーケティング
- アプリマーケティング
デジタルマーケティング関連の補助金・助成金
中小企業がデジタルマーケティングを実践する際に活用できる補助金・助成金について、国および自治体による主な支援策を取り上げて解説します。
IT導入補助金
補助対象 |
全国の中小企業(業種によって資本金や従業員の規模は異なる) |
補助対象経費 |
ITツールの導入経費(例:ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、ハードウェア購入費など) |
補助金額 |
5万円~450万円 |
参照:IT導入補助金2024
ものづくり補助金
補助対象 |
IT導入補助金と同一 |
補助対象経費 |
経営革新のために実施する設備投資(例:機械装置・ システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費など) ※単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須 |
補助金額 |
750万円~3,000万円 |
生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金(東京都)
助成対象 |
東京都内に主たる事業所をおく中小企業(業種によって資本金や従業員の規模は異なる) |
助成対象経費 |
見える化・自動化・ペーパーレス化へ向けて行う設備投資(例:機器・ロボット導入費、システム構築費、ソフトウェア導入費、クラウド利用費、データ分析費など) |
助成金額 |
30万円~300万円 |
テレワーク促進助成金(東京都)
助成対象 |
東京都内に主たる事業所をおく中小企業(業種によって資本金や従業員の規模は異なる) |
助成対象経費 |
在宅勤務を可能にする情報通信機器(モバイル端末など)、業務関連ソフトなど ※業務改善や効率化のためのシステム導入は助成対象外 |
助成金額 |
最大250万円 |
中小企業デジタル化・DX推進事業(京都市)
補助対象 |
・京都市内に主たる事務所又は事業拠点を有する中小企業等 ・主たる事業所を京都市内に設けている中小企業等で構成する団体 |
補助対象経費 |
経営とITの両方に詳しい専門家(ITコーディネータ)を派遣し、デジタル化計画の策定支援やDX推進計画をブラッシュアップするとともに、ITシステム導入にかかる費用などの一部 |
補助金額 |
デジタル枠:最大100万円 DX枠:最大200万円 |
導入事例
補助金や助成金を活用して中小企業がデジタルマーケティングやデジタル化を促進した事例を5つ取り上げて解説します。
事例1:京都市でプライベートブランドの頭髪化粧品を販売するA社
京都市西京区でプライベートブランドの頭髪化粧品を販売するA社は、オンリーワンの商品と施術、経営ソフトの提供を強みとする優良企業ですが、事務作業の省力化と新規顧客の獲得が大きな課題となっていました。
京都市が運営する「中小企業デジタル化・DX推進事業」を活用し、商品アピールと広告を兼ねてECサイトにBtoB向けに『Bカート』を導入することで、新規取引の拡大に成功しました。
今後は商品説明動画に関するコンテンツ、ブログやSNSなどのITツールを活用し、全国の理美容室への販売促進を拡大する意向です。
事例2:京都中央卸売市場の塩干物卸売業B社
京都市下京区のB社は、京都中央卸売市場で塩干物の卸売業を営んでいますが、京都市内の「魚屋さん」との取り引きが中心で、商売に限界を感じていました。
こちらも京都市が運営する「中小企業デジタル化・DX推進事業」を活用し、全国の加工業者、卸売・小売業者、ホテル関係者、地元の中堅スーパーを相手とした広域販売へと方向転換を図りました。
具体的には、「ゆるいつながり」の業者数千件のデータを活用し、会員化を目的にECサイトを制作することで、取り引きを圧倒的に拡大しました。
今後は、京都市中央卸売市場の塩干卸売業者が加わるネット取引システムの構築を目標としています。
京都におけるその他の導入事例については下記サイトをご参照ください。
事例3:渋谷区の健康・スポーツ関連事業C社
東京都渋谷区で健康・スポーツ関連事業を営むC社は、創業以来の急速な事業拡大に伴う、顧客管理やスケジュール管理の煩雑化が大きな課題でした。
IT導入補助金における補助金対象ソフトであるクラウドサービス 「Microsoft Office 365」と、顧客管理を自動化する「CRMシステム」を導入することにより、導入費用の2/3が補助対象となり、対面ミーティングの時間を50%削減するとともに、顧客管理を大幅に効率化しました。
事例4:千代田区の保育・教育関連事業D社
東京都千代田区で保育・教育関連事業を営むD社は、顧客である保育所・幼稚園の日常業務は昔ながらの手作業が多く、電話・DM・飛び込み営業などのアウトバウンド的な活動が中心でした。また、顧客情報の管理や案件の進捗管理も出来ておらず、大きな課題を抱えていました。
東京都が運営する「生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金」を活用することで、営業活動をCRMサービス導入と併せて見直し、営業担当者や組織全体の業務の見える化によって業務全体の効率向上を実現しました。
事例5:杉並区のオリジナルブランド商品・中古品・輸入品・ヴィンテージ商品など販売会社E社
東京都杉並区でオリジナルブランド商品や他社既存ブランドの新品・中古品、また輸入品やヴィンテージ商品を実店舗およびECサイトで販売しているD社は、各種販売関連データの連携と業務に携わる従業員の作業がきわめて複雑という課題を抱えていました。
こちらも東京都が運営する「生産性向上のためのデジタル技術活用推進助成金」を活用することで、従来同社が運営してきた基幹システムにスマホアプリとタブレット端末を連動させ、現場の作業を円滑化するとともに的確なマーケティング情報の収集・分析が可能となりました。
まとめ
デジタルマーケティングに関する補助金・助成金と、それぞれの支援施策を有効に活用した中小企業の導入・成功事例について詳しく解説しました。
中小企業にとって、デジタルマーケティングに関する取り組みは喫緊の課題といえるテーマです。
この記事を読んで、デジタルマーケティングについて関心のある事業者は是非お役立てください。
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